飲食店を開業するには、店舗がある自治体の保健所の検査を受け、「営業許可書」を取得する必要があります。
保健所は飲食を提供するにあたって、店舗の内装や設備が定められた基準や規定をしっかりとクリアしているか、基準通りの維持管理ができているか、安全かつ衛生的に利用できるかを検査しています。
今回は飲食店営業許可を取得するためにクリアすべき、内装や設備についての要件をご紹介します。
飲食店営業許可を取得するには?
飲食店営業許可を取得するためには、「人についての要件」と「設備についての要件」の両方を満たしている必要があります。
「人についての要件」は、申請する人(お店の営業者)が欠格事由に該当しないこと、許可を取りたいお店に専任の食品衛生責任者を配置することの2つです。
1つ目の欠格事由とは、申請する人が過去に食品衛生法に違反して処分を受けたり、営業許可を取り消されて2年が経っていなかったりすると許可が下りません。
2つ目の食品衛生管理者とは、飲食店で食品衛生の管理をする人のことです。
店舗の営業環境が適切なものであるかを管理するため、店舗ごとに専任の管理者を1人以上置いておく必要があります。各都道府県の衛生協会実施が実施する合計6時間の講習を受講することで資格を取得できます。
「設備についての要件」は、保健所の担当者が実際に店舗に訪問して検査を行います。飲食店を開業される方の多くが不安に思っている点ですので、次章で詳しく解説します。
設備についての要件チェック項目
「設備についての要件」は各自治体によって若干の違いはあるものの、おおむね以下にご紹介する項目がチェックされます。
厨房とホールは扉で区画されているか
厨房とホール(客席)は、開閉可能な扉で区画されている必要があります。扉は大きなものである必要はなく、スイングドアやウェスタンドアであっても問題ありません。
開閉可能であることがポイントであるため、何の仕切りもなしに続いていたり、開いた状態で固定されていたりする場合は、保健所の許可が下りない場合があります。
厨房に2槽以上シンクが設置してあるか
洗い場では、洗い物に使った水が食材にかからない構造になっているか、水とお湯の蛇口がそれぞれ独立していて、洗浄のためにお湯が出るかが検査されます。
原則として幅45cm以上・深さ18cm以上・奥行36cm以上のシンクが2槽以上必要です。
保健所の担当者によっては1cmくらいであればサイズが足りなくても許可されることが多いですが、別の担当者の検査では1cm足りなかっただけで交換を求められる場合もあります。
厨房とトイレそれぞれに手洗い場があるか
従業員用の手洗い場が1つ、トイレにはお客様用の手洗い場が1つ、サイズは幅36cm・奥行き28cm以上である必要があります。
また、原則として液体洗剤は固定された容器で設置しなければなりません。一般に市販されているボトル式のハンドソープなどをそのまま手洗い場に置くことはNGです。
厨房の床は清掃しやすい材質を使っているか
厨房の床はコンクリートやタイル貼りなど、水はけの良い材質であるかがチェックされます。
フローリングやじゅうたんなど、ゴミや食材のカスが溜まりやすく、不衛生になるおそれがある床材はNGです。
厨房内に冷蔵庫等の設備が収まっているか
厨房の外やホールなどに食材や食器、冷蔵庫や製氷機、食洗器、オーブンなどの厨房機器を置くことはできず、そこで調理をすることもできません。
どうしても厨房内に厨房機器や食材等を置けない場合には、ホールに置くことが許可される場合もありますが、それでも蓋がしっかりついていて、衛生状態を保ちやすいドリンクなどに限定されてしまいます。生肉、野菜などは厨房の外に置くことが認められません。
また、ビールサーバーをカウンター上に設置する場合は、必ず注ぎ口を厨房側に向けておく必要があります。
まとめ
飲食店営業許可を取得するための保健所の検査項目について解説しました。
保健所に申請をして担当者が検査に訪問するまでには、早ければ申請の翌日、遅ければ1~2週間かかることもあります。
また検査から営業許可の交付には数日かかるので、開店までのスケジュールに余裕を持って申請しましょう。
どうしても急いで検査してもらいたい場合は、保健所に事前に開店日を伝え、急ぐ旨を伝えておきましょう。