外壁塗装に使用される塗料にはいくつかの種類があり、耐用年数や性能の違いがあることをご存知ですか?
「なるべくコストを抑えたい」「外壁の耐久性能を高めたい」といった要望に合う塗料を選ぶためには、塗料の種類やそれぞれの耐用年数、性能について事前に知っておくことが大切です。
外壁塗装に使用される塗料の種類
外壁塗装で使用されている塗料は次の5種類です。耐用年数の高さ=グレードの高さで、グレードが違えば単価や性能も変わってきます。一覧でまとめると次の表のとおりです。
グレード | 耐用年数 | 単価(平米あたり) | 性能 |
アクリル塗料 | 4~7年 | 1,000~1,200円 | 紫外線に弱い |
ウレタン塗料 | 6~10年 | 1,800~2,000円 | 耐久性、密着性 |
シリコン塗料 | 8~15年 | 2,500~3,500円 | 耐久性、耐候性、防汚性、防カビ性、防藻性 |
ラジカル塗料 | 8~15年 | 3,500~4,000円 | 耐久性、耐候性、防汚性、防カビ性、防藻性 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 3,500~5,500円 | 耐久性、耐候性、撥水性、光沢感 |
各塗料について詳しく見ていきましょう。
アクリル塗料
代表的な塗料名
・オーデグロス(日本ペイント株式会社)
・プリーズコート(エスケー化研株式会社)
アクリル塗料は4種類のうちもっともグレードが低く、耐用年数が短いぶん単価は安い塗料です。安価で外壁塗装ができるものの、汚れやすく耐水性、耐候性ともに低いため「安かろう悪かろう」になってしまいます。現在は外壁塗装用の塗料として使用されることは滅多にありません。
ウレタン塗料
代表的な塗料名
・クリーンマイルドウレタン(エスケー化研)
・水性ファインウレタン(日本ペイント)
一昔前まで外壁塗装の塗料として主流だったのがウレタン塗料です。ある程度の耐用年数があり、汚れ防止、色あせ防止、耐久性に優れています。現在はベランダの防水工事に使用されることが多く、戸建ての外壁塗装で使用されることはほとんどありません。
シリコン塗料
代表的な塗料名
・クリーンマイルドシリコン(エスケー化研)
・セラMシリコン2(関西ペイント)
・ハナコレクション100水性(日本ペイント)
・ファインシリコンフレッシュ(日本ペイント)
シリコンは現在もっとも外壁の塗り替えに使用されている塗料です。ウレタン塗料に比べて耐用年数の長さ、耐久性、耐候性、仕上がりの美しさに優れています。さらに、優れた弾性を持っているため、外壁にひび割れができても防水性を損なうことがありません。価格に対して優れた性能を持つコストパフォーマンスの高さも、シリコン塗料の強みです。
ラジカル塗料
代表的な塗料名
・パーフェクトトップ(日本ペイント)
・エスケープレミアムシリコン(エスケー化研)
・アレスダイナミックTOP(関西ペイント)
ラジカル塗料は正確に言うと、塗料の塗膜を劣化させる「チョーキング現象」を引き起こす原因であるラジカルを制御する酸化チタンを含む塗料です。シリコン塗料に並ぶ耐用年数とコストパフォーマンスを誇り、新しい外壁塗装用の塗料として注目されています。一方で、ラジカル塗料の発売開始は2012年で、まだまだ実績や製品数が少ないというデメリットもあります。
フッ素塗料
代表的な塗料名
・クリーンマイルドフッソ(エスケー化研)
・ファイン4Fセラミック(日本ペイント)
・ルミステージ(AGC旭硝子)
フッ素塗料は外壁塗装に使用される塗料としては最も耐用年数に優れ、高い耐久性、耐候性に加え仕上がりの美しさ、光沢感も兼ね備えています。一方でコストが高いため、住宅の外壁用としてよりも、商業施設や大きいビルなどで使用される傾向にあります。
特殊な性能を持つ塗料
前述した5種類以外にも、次のようなさまざまな性能を持った塗料があります。
種類 | 耐用年数 | 単価(平米あたり) | 性能 |
光触媒塗料 | 10~20年 | 3,500~5,500円 | 耐久性、防汚性、遮熱性、親水性、防カビ性、防藻性 |
無機塗料 | 20~25年 | 4,500~5,500円 | 耐久性、親水性、不燃性、防カビ性、防藻性 |
遮熱・断熱塗料 | 10~15年 | 2,500~3,000円 | 遮熱性、断熱性 |
特殊な性能を持つ塗料の中でも、注目すべきは遮熱性・断熱性です。自治体が募集している外壁塗装リフォームの補助金事業の対象は「省エネリフォーム」が条件となることが多いため、補助金を受給したいと考えるのであれば、遮熱性・断熱性を持つ塗料を使用して外壁を塗り替える必要があります。
塗料の色
塗料の性能と並んで気になるのは「塗料の色」です。着色効果のある顔料を含む有色不透明の塗料は「エナメル塗料」、無色透明の塗料は「クリヤー塗料」に分類されます。
エナメル塗料には外壁の下地の色を隠す隠ぺい性能があるため、外壁の塗替えのタイミングで家の雰囲気を変えたいというときにおすすめです。塗料に含まれる顔料には防錆性、遮熱性もあります。
クリヤー塗料は顔料を含まない無色透明の塗料ですので、防錆性や遮熱性といった効果には期待できませんが、下地の外壁の雰囲気はそのまま残すことができます。
塗料の賢い選び方
数種類の塗料の中からどれを選べばよいか、どのポイントに注目して選べばよいか、塗料の賢い選び方をご紹介します。
基本的に「シリコン」を選べば間違いない
よほど塗料のコストや性能にこだわりがなければ、もっともコストパフォーマンスが高く、スタンダードな塗料であるシリコン塗料をおすすめします。シリコン塗料は建築用塗料の市場においてシェア80%を占める人気塗料で、塗装業者が何種類かの塗料を提案するときには必ずと言っていいほど候補に入っているはずです。
特にこだわりがないという場合は、シリコン塗装を選んでおけばまず間違いありません。
耐用年数と相場価格で比較する
塗料はそれぞれ耐用年数が異なり、それに伴って相場価格も変わります。
基本的に耐用年数が長いほど相場価格は高くなりますが、安い塗料ほど塗り替えの頻度が高くなるため、かえって費用がかさんでしまう可能性もあります。したがって、耐用年数と相場価格の両方の観点で各塗料を比較することが重要です。
まとめ
外壁塗装リフォームを検討する際に考慮したい塗料の種類と、各塗料の耐用年数、相場価格、特徴を解説しました。
塗料を選ぶ際は耐用年数や相場価格はもちろん、各塗料の持つ性能まで考慮するのがベストですが、特にこだわりがなければコストパフォーマンスが最も高いシリコン塗料をおすすめします。
外壁塗装で失敗しないためには、塗料選びはもちろん、施工する塗装業者選びも重要です。複数の業者に見積もりを出してもらい、塗料にも精通した業者に施工を依頼するようにしましょう。
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