従来の日本家屋はモルタルの外壁が主流でしたが、90年代以降は「サイディング」と呼ばれる外壁材の人気が高まっています。
なかでも、セメントに繊維質を混ぜて板状に成型した「窯業系サイディング」は、戸建住宅の外壁材の8割近いシェアを占めています。
今回はサイディングの種類や、外壁を窯業系サイディングに張り替えリフォームをするときの費用相場について解説します。
サイディングとは
サイディングは「サイディングボード」とも呼ばれる、工場で成型された仕上げ用の板状の外壁材を指します。窯業系サイディングをはじめとして、金属系サイディングや樹脂系サイディングなどの種類があります。
従来の主流だったモルタル仕上げは、刷毛やローラーなどで塗って仕上げる「湿式工法」ですが、サイディングは一定サイズの板を外壁に貼り付けて仕上げる「乾式工法」です。
湿式工法と異なり、職人の高い専門技術を必要としないため、工期を大幅に短縮して工事費用も抑えることができます。
さらに、モルタルに比べてサイディングは軽量で、家への負担が少なく耐震性能も向上します。窯業系サイディングの重さはモルタルの2分の1以下、金属系サイディングは約10分の1以下です。
窯業系サイディングのメリット
窯業系サイディングには以下のメリットがあります。
施工が容易で初期費用が抑えられる
窯業系サイディングは他の外壁材と比べて価格が安く、施工も容易です。工場で成型されているサイディングボードをそのまま貼り付ける作業のため、依頼できる業者が多く、現場での工期も短くて済みます。一般的な30坪2階建て住宅の外壁を窯業系サイディングに張り替える場合、工事費用は150万円~300万円、工事期間は1~2週間がめやすとなります。
デザインのバリエーションが豊富
セメントを原料とする窯業系サイディングはデザイン性が高く、デバリエーションが非常に豊富です。タイル調や木目調、石柄など、好みや景観に合わせて選ぶことができます。
防火性・耐火性に優れる
窯業サイディングは防火性・耐火性に優れています。外壁材には火や熱を遮る能力「耐火等級」があり、窯業系サイディングには最もレベルの高い耐火4等級(60分以上火や熱をさえぎる性能がある)の製品もあります。近隣の住宅で火事になった場合でも、延焼などの被害を最小限に抑えることができます。
軽量である
窯業系サイディングの重さはモルタルの2分の1以下です。外壁に使用することで家への負担が少なく、耐震性能も向上します。
窯業系サイディングのデメリット
窯業系サイディングには以下のようなデメリットがあることにも注意しましょう。
こまめなメンテナンスが必要
窯業系サイディングじたいの耐用年数は40年ですが、10年に1度の塗り替えをしなければなりません。施工したままで長く放置すると、ひび割れやカビなどの劣化が生じやすくなるため、こまめなメンテナンスが必要となります。また、つなぎ目のシーリングと呼ばれる充填剤は5~10年に1度を目安にメンテナンスが必要です。
室温が高くなりやすい
窯業系サイディングの原料であるセメントは、熱を吸収しやすい性質があるため、室温が高くなりやすいです。夏場はとくに外壁から伝わる熱が室内にまで及び、エアコンの使用頻度が高くなってしまいます。ただし、遮熱効果や断熱効果のある塗料を使用すれば、外壁の熱の蓄積を抑え、室内の温度上昇を防ぐことができます。
窯業系サイディングにリフォームするときの費用相場
外壁のリフォームには、「重ね張り工法」と「張り替え工法」があります。窯業系サイディングにリフォームするときの1㎡あたりの費用相場は以下のとおりです。
重ね張り工法 | 施工費 2,500円~3,500円/㎡ 材料費 4,000円~5,000円/㎡ |
張り替え工法 | 施工費 1,850円~3,000円/㎡ 既存の壁材撤去費 800円~1,000円/㎡ 材料費 4,000円~5,000円/㎡ |
重ね張り工法は既存の外壁の上から、新しいサイディングボードを重ねて張る工法です。既存の外壁を撤去する費用と工期が抑えられますが、外壁が重くなってしまうため耐震性が下がります。一般的な戸建住宅の外壁を重ね張り工法でリフォームする場合、トータルの費用は130万円~220万円がめやすです。
一方の張り替え工法は、既存のサイディングボードを撤去して新しいサイディングボードを張る工法です。工事費用は重ね張り工法よりも高くなりますが、外観や耐久性が刷新されます。一般的な戸建住宅の外壁を張り替え工法でリフォームする場合、トータルの費用は150万円~230万円がめやすです。
まとめ
窯業系サイディングの特徴とメリット・デメリット、リフォーム費用の相場を解説しました。
外壁をリフォームするときは、施工実績が豊富で地域の住宅環境に詳しい地元のリフォーム会社がおすすめです。
理想のリフォームを実現するためにも、なるべく複数の業者に見積もりを依頼して、費用やプランを比較検討しましょう。