自宅の外壁にひび割れを見つけた場合、皆さんならどうされますか?
見なかったことにして通り過ぎる? そうですね。できた時と同じように、いつの間にか隙間が埋まっているかもしれませんしね。
いえいえ、そんなことは決して起こりません。できてしまったひび割れは、次第に大きくなるか、そのまま変わらないか、ふたつにひとつです。
大きくならない方のひび割れであれば、そのまま放置したとしても、運が良ければ被害が広がることはないでしょう。しかし、そうでない方のひび割れだった場合を考えると、そのまま放っておくという選択肢はあまりに危険すぎます。
「そんなことを言っても外壁のひび割れのことなんてわからない」そう思われる方が多いでしょう。「危険かどうかも分からない些細なひびのためにわざわざ業者を呼ぶのも気が引ける」それも分かります。
では、自宅の外壁にひび割れを見つけた時、どのように対処すればいいのか、今回はそのことを説明させていただきます。
ひび割れのリスクとは?
外壁に「ひび割れ」が発生すると、今後さまざまな症状が付随的に発生する危険性があります。
まずは雨漏りです。雨漏りといえば普通は屋根を思い浮かべますが、外壁からも起こります。外壁に生じたひび割れから、建物内部に雨水の通る道ができる。それが少しずつ広がり、伸びていくのです。もちろん、ひびができたからといって、ただちに雨漏りの危険が生じたということではありません。その危険性がゼロではなくなった、ということを意味します。
雨漏りというのは目に見えず、じわじわと建物内部を浸食していきます。非常に危険で恐ろしいものですが、外壁の場合、対処の仕方はそれほどむずかしくありません。後述しますが、要は入り口をふさいでやればいいわけです。
雨漏りで家屋の内部に影響が出た場合、これをリカバーするのはよほどの熟練者でなければdiyでは不可能です。だからこそ、ひび割れを早期に発見し、症状を診断し、その都度適切な処置を行っておく必要があるわけです。
※建物内部に雨水が侵入し、カビや腐食の原因に。
ひび割れの症状を診断
先ほども書きましたが、外壁のひび割れには、放置してもそれほど問題のないものと、一刻も早く対処しなければならないものの2種類があります。これをチェックする方法は簡単です。できればノギス、なければご自宅の定規で用意して、ひび割れの幅を測定してください。我々は感覚でわかりますが、皆さんの場合は目盛りがあった方が正確に判断できると思います。
0.3mm以下の場合
幅が0.3mm以下の髪の毛のような細いひび割れを通称・ヘアークラックと言います。ヘアークラックは、ひび割れといっても塗膜の表面にできるもので、経年劣化による場合がほとんどです。緊急性はありませんが、放っておくと幅が拡大する場合もあるので、DIYで簡単な処置をしておくことをおすすめします。
0.3mm~1mm以下の場合
別の原因がある場合がまれにありますが、一般的にはヘアークラックが進行したものと考えて間違いないでしょう。それにしてもそろそろ黄信号です。早めの補修を検討してください。
幅が1mm以上の場合
早急な対応が必要です。
地震の揺れ、不同や地盤沈下、構造上の欠陥など、「建物」自体が原因となって起こる「構造クラック」と呼ばれるものです。建物の劣化にともない症状も進行し、最悪の場合倒壊ということにもなりかねませんので注意が必要です。DIYできるレベルではないので、早めに専門業者に見てもらうことをおすすめします。
・0.3mm~1mm以下 → DIY or 業者に依頼
・1mm以上 → 業者に依頼
DIYで補修してみよう
脅かすようなことを言ってしまいましたが、1mmを超えるようなひび割れはめったに発生しません。それ以外の大多数のひび割れについては、DIYでの補修にチャレンジすることをおすすめします。作業自体は簡単であるのに、万一の場合の備えと考えれば、効果は絶大といえるからです。
以下、作業の方法について説明していきます。
0.3mm未満のクラックの補修方法
小さなひび割れなので緊急性はありませんが、放っておけばそこから亀裂が拡がる可能性もあります。適切な補修を行えば進行を食い止めることができますので、応急処置的にDIYにチャレンジしてみましょう。
ヘアークラックの補修方法には2つのパターンがあります。
「スプレー式」
防水剤入りのスプレーをヘアークラックに吹きかけます。裂け目から防水剤が浸透するのを待ち、完全に乾いたら、今度はセメントスプレーの塗装剤を塗っていきます。噴霧式なので拡散するデメリットがありますが、作業時間が短くて済むのがありがたいですね。
「チョーク式」。
セメントチョークをヘアークラックに直接刷り込んでいく方法です。スプレーと違って拡散の心配はありませんが、手作業なのでそれなりに時間がかかりますし、力が弱いとしっかり付着しないので、ある程度体力のある人が作業をするのが望ましいですね。
1mm未満のクラックの補修方法
ヘアークラックより若干幅広なら、シーリング材を使って補修するのが一般的です。ホームセンターなどでひび割れ補修材として売っています。早めに乾燥させたいので、よく晴れた日に作業するのが理想です。水気が残っている場合もあるので、前日の天気も確認するようにしてください。
以下に作業手順を説明します。
汚れを除去する
ほうきなどを使って補修個所の汚れを除去します。アルコールで油分を落すのも効果的です。しっかり乾燥させてから次の手順へ進むようにしましょう。
養生をする
シーリングが他の部分に付着しないようマスキングテープを貼ります。
下地材を塗る
シーリング材をうまくひび割れに密着させるため、プライマーと呼ばれる下地材を塗りこむのがいいでしょう。ひと手間余分にかかりますが、それだけ耐久性が上がります。シーリング材によって相性の良いプライマーがあるので、購入時に確認してみてください。
シーリング材を埋めていく
下地として塗ったプライマーがしっかり乾燥したら、その上からシーリング材を塗布していきます。隙間を埋めるように塗るのがコツです。後で均せますので、最初は多めに塗りつけるようにしましょう。
ヘラを使い均して整える
盛り上がったシーリング材を、ヘラを使って、ひび割れに押し込むように均していきます。
これで完了です。材が乾くのを待つ間他のこともできますので、いわゆる日曜大工としてぜひチャレンジしてみてください。
1mmを超えるひび割れ
この場合、すでに雨漏りが進んでいるか、あるいは建物の構造自体に問題がある可能性もあり、DIYで表面を補修しただけではおそらく解決しません。専門業者に来てもらって、内部の点検をしてもらうことをおすすめします。
まとめ
以上、今回は外壁のひび割れについてあれこれ書いてきましたが、少しでもどなたかの助けになれたら幸いです。外壁のセルフチェックの方法については「外壁を自分でチェックする6つの方法と注意点」こちらの記事に詳しく書いておりますので、併せて読んでいただけると参考になると思います。
いずれにせよ、定期的に建物の様子を点検することが大切です。前にもどこかで書きましたが、家も人と同じで、早期発見早期治療が長く健康を保つ秘訣です。ルーティンを作って、家を愛でて回る習慣を身に着けてください。