サイディング壁は現在外壁工事の主流を占めています。
日本ではかってモルタル壁が主流であったため、古くなった家では今でもかなりの数のモルタル壁の住宅が残っています。モルタル壁も古くなると欠損が多くなり補修を行わなければいけない頻度も上がってきて、全体を改修する必要性も出てきます。
サイディング壁以外の壁からサイディング壁に変更する工事はどうすればいいのでしょうか?
サイディング壁に張り替えた時にかかる費用はいくらかかるのでしょうか?
住宅の外壁をサイディング壁に張り替える方法とかかる費用について解説します。
外壁の種類による張替えの方法
外壁には耐用年数があるので、一定の期間でメンテナンスをして補修をしてきても古くなり張り替えたいという時期があります。
張替えの方法は外壁の種類によって異なります。
サイディング壁の場合はもともと外壁材を張ることにより加工しているので、比較的張替え作業が容易にできます。
モルタル壁の場合はモルタル材を塗装することにより加工しているので、このモルタル部分を剥がして張りなおすことになります。このため基本的には張替えはできず、全て壊して作り替えになります。土台から作り直すことになるので工事は大掛かりになります。
外壁のサイディングの張替え加工の方法
壁の張替えを行う時、元の壁をどうするかで大きく二つの方法があります。元の壁がサイディング壁の場合は外壁材だけを剥がして張り替えることができます。
モルタル壁ではこの工法はできません。全体を壊して作り替えることになります。土台からサイディング壁用に作り変える必要があります。
ただし元の壁がモルタル壁でもサイディング壁でも簡単に張り替える方法があります。
それがカバー工法です。
カバー工法とは元の壁をそのままにしてその上に新しいサイディングボードを貼っていく方法です。これは重ね張り工法ともいい、外壁を張り替えるのに比べて比較的容易に工事ができます。
ただし重ね張りをすると壁全体が重くなるのでカバー工法に用いられるサイディング壁は金属系サイディングや樹脂系サイディングに限られており、外壁材の重量の重い窯業系サイディングは使われません。
張替え工法とカバー工法それぞれにメリットとディメリットがありますが、その比較を下表に示します。
工法 | カバー工法 | 張替え |
工事の規模 | 簡単で工期が短い | 大規模で工期が長い |
費用 | 新しい壁の工事の費用のみとなる | 元の壁の撤去と廃材の廃棄作業の費用が上積みされて高額になる |
元の壁の補修 | 元の壁はそのまま残る
元の壁の状態によっては強度を保つことができず工事ができない |
外壁材を全て剥がすので土台の部分の欠陥も補修でき、壁全体の補修ができる |
新しい壁の特性 | 二重構造で断熱性や遮音性が増す
二重になるため重量が増す |
外壁全体の重量がカバー工法よりも小さくなる |
新しい壁の種類 | 選択できる外壁材は金属系サイディングと樹脂系サイディングに限られている | 自由な外壁材が選べる |
以上を整理するとサイディング壁への加工は下記のようになります。
元の壁 | 加工方法 | できるサイディング壁の種類 |
モルタル壁 | 壊して作り直し | どの種類のものも可能 |
カバー工法 | 金属系サイディング、樹脂系サイディング | |
サイディング壁 | 張替え | どの種類のものも可能 |
カバー工法 | 金属系サイディング、樹脂系サイディング |
サイディング加工にかかる費用の内訳
外壁張り替え工法の手順とそれにかかる費用を下記に示します。
手順 | 作業内容 | 費用 |
1 | 工事の準備(足場の設置、養生シートでのカバー) | 全体で1,000円/m2程度
|
2 | 元の外壁の解体、廃材の廃棄 | 全体で100,000円程度 |
3 | 外壁の張替え | 外壁材により異なり6,000~10,000/m2
そのほかにシーリング作業費:700円/m2が必要 |
4 | 工事全体の費用の目安 | 200万円(40坪の住宅)程度 |
カバー工法の手順とそれにかかる費用を下記に示します。
手順 | 作業内容 | 費用 |
1 | 工事の準備(足場の設置、養生シートでのカバー) | 全体で1,000円/m2程度
|
2 | 元の外壁材の上に防水シートや根太などを設置し下地を作る | 外壁材により異なり6,000~10,000/m2
そのほかにシーリング作業費:700円/m2 |
3 | サイディングボードの張り付け | |
4 | 工事全体の目安 | 150万円(40坪の住宅)程度 |
工法と外壁材による費用の比較
どちらの工法でも費用の内訳は、外壁材の材料の費用と工事の作業にかかる人件費です。
外壁材を張り替えて工事を行う場合と重ね張りのカバー工法で工事を行う場合を比較すると表の手順中の元の壁に対する作業に差がありその人件費がかなり異なります。
張替えでは元の外壁材を剥がす作業が発生し、剥がした外壁材を廃棄する費用も発生してきます。カバー工法では元の外壁はそのままにして、その上に新しい外壁材を張り付けるための下地を作る工事だけですから、その分カバー工法の方が作業も少なく人件費が安くなります。
またどちらの工法でも新しく貼る外壁材により価格が異なります。
材料の価格は1m2当たり窯業系サイディング:約3,000円、金属系サイディング:約4,000円、木製サイディング:約6,000円、樹脂サイディング:約9,000円と窯業系サイディングが安いのですが、窯業系サイディングではサイディングボード間の隙間を埋めるシーリングの作業の費用が付加するため施工費用込みの費用は金属サイディングで1m2あたり約6,000円、窯業系サイディングで1m2あたり約8,000円と金属系サイディングがもっとも安くなります。
この結果、カバー工法で金属系サイディング壁に変える方法が最も安くなります。カバー工法でも樹脂系サイディングを用いるとかなり高額になります。
まとめ
サイディング壁は現在外壁の主流を占めています。
どの種類の壁でも一定のメンテナンスを行っていても寿命があり、古くなった場合サーディング壁に張り替えたいという希望される方や新しいサイディング壁で家のデザインを一新して美しくしたいと思われる方がたくさんおられます。
古くなった壁をサイディング壁に張り替えるにはどういう方法があるのか、それにはどの程度の費用が掛かるのかを解説しました。張替えは元の壁がサイディング壁の場合は比較的簡単に行えますが、モルタル壁の場合は難しく、全体を壊して作り替えることになります。
かんたんな方法として元の壁をそのままに残して上にサーディング壁を張っていくカバー工法があります。
この工法だと元の壁の撤去と廃材の廃棄費用などが不要になり価格も安く行うことができます。
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