屋根の素材を選ぶ前に知っておきたい7つのポイント

屋根の素材を選ぶ前に知っておきたい7つのポイント

新築やリフォームで屋根材を選ぶとき、業者に言われるまま選んでしまった経験はないでしょうか?建物がどれだけ長持ちするかは、屋根材が非常に大きなウェートを占めています。居住空間を快適にする、という目的だけではないんですね。

価格も材質もさまざまな種類がある屋根材について、間違いのない選択をするために、重視すべきポイントを以下に挙げていこうと思います。

屋根材の種類

住宅に使用される代表的な屋根材には次の4つがあります。

    • 陶器瓦
    • スレート瓦
    • セメント瓦
    • 金属屋根

それぞれに特徴やメリット、デメリットがあり価格も含め一概にどれが良いと言い切るのは難しいのですが、それぞれの性質を知らないで選ぶのと、知ったうえで選ぶのとでは、やはり大きな違いがあると思います。

屋根材を選ぶ時のポイントを7つ確認してみましょう。

屋根材の7つのポイント

屋根材の強度

代表的な屋根材の陶器瓦、スレート瓦、セメント瓦、金属屋根の4種類の屋根材はそれぞれ強度が異なります。

陶器瓦

陶器瓦は粘土で瓦の形に形成し釉薬をつけたり、素の状態で焼き上げたものです。厚みはありますが陶器性ですので、強い衝撃があると簡単に割れたり、欠けたりしてしまいます。

スレート瓦

スレート瓦はセメントに繊維を混ぜて薄い板状に形成していますので、衝撃があると陶器以上に簡単に割れてしまいます。

セメント瓦

セメント瓦はセメントと砂を混ぜて厚みを持たせて形成していますので、非常に強度があり割れにくい材質です。

金属屋根

金属屋根は割れたり欠けたりの心配はありませんが、衝撃には弱いので簡単にへこんだり曲がったりしてしまいます。

耐久性

耐久性が最も強い屋根材は焼き物瓦です。素焼きやいぶし瓦の他に釉薬によって色付けをした瓦でも色をつけてから焼いていますので、色あせの心配もなく、耐久性は半永久的と言えるでしょう。

セメント瓦と金属屋根のガルバリウム鋼板の耐久性はスレート瓦と比較すると長くなりますが、半永久的にもつ素材ではありませんので20~30年後にはメンテナンスが必要になります。

スレート瓦の耐久性は一番低く、表面に施している塗装は10年を目安に剥がれてしまいます。短期間のメンテナンスが一番必要な屋根材と言えるのではないでしょうか。

寿命

耐久性と重なる部分はありますが、寿命が最も長いのは陶器瓦です。陶器は瓦自体が損傷しないかぎり半永久的に持ちます。歴史的建造物の屋根には何十年、何百年も前の陶器瓦が今なお残っているほどです。

次に寿命が長いのはセメント瓦とガルバリウム鋼板です。金属屋根でも瓦棒などのトタン屋根は表面の塗装が剥がれやすく定期的なメンテナンスが必要のため寿命が短くなります。

スレート瓦も表面に施している塗装が剥がれやすく、にコケやカビが生えてしまいますので長期にわたりもたせたいのであれば、10年スパンで塗り替えをする必要があります。

重量

建物にとって屋根にかかる重みはとても重要で、地震大国の日本ですから揺れによる備えは必要です。

重量が一番軽いのはなんといっても金属屋根です。

スレート瓦はセメントを使用していますが厚みが薄いため、セメント瓦や陶器瓦よりも軽くなります。

重量がある粘土系の瓦は重厚感があり、日本の建物や景観にとてもよく合いますが耐震性を重視するのであれば、より軽量な屋根材を選択するのが賢明でしょう。

デザイン性

屋根材のデザイン性は昔に比べ選択肢がとても広がりました。

焼き物の瓦でも平板瓦、S字瓦など形状を選ぶことができますし、いぶし瓦やテラコッタ瓦など色合いによっても外観のイメージは大幅に変わるでしょう。近年は窓が小さく箱型の家に人気がありますので、そういった形の家には金属系のガルバリウム鋼板がよく採用されています。

金属屋根は勾配の緩い屋根にも対応できますので、デザイン性を重視する家やシンプルでスタイリッシュさが人気を呼んでいると言えるでしょう。昔ながらの日本家屋や和風建築にはやはり焼き物の瓦がよく似合います。このように外観のテイストや雰囲気によっても選択する瓦はかわってきます。

メンテナンス性

価格がいくら安くてもメンテナンスの頻度が高ければ結果的にその屋根にかける費用は高くなってしまいます。予算との兼合いがある場合でも出来る限りメンテナンスが長期にわたって必要のない屋根材を選びたいものです。

陶器瓦は半永久的にもつ瓦材ですのでメンテナンスはほとんど必要ありません。しかし、いぶし瓦を葺くような和風建築は漆喰部分がありますので、瓦以外の部分は定期的なメンテナンスが必要です。

スレート瓦やセメント瓦は表面に施されている塗料がとても重要な役割を担っていますので、適切な時期にメンテナンスをすることが屋根を長持ちさせる秘訣とも言えます。

瓦棒やとたん屋根は10年に一度くらいの頻度で塗り替えを施すことが必要ですが、同じ金属屋根でもガルバリウム鋼板は20年~30年メンテナンスは不要ですので金属屋根の中ではメンテナンスの手間がかかりにくいと言えます。しかし、ガルバリウム鋼板も半永久的にもつものではありませんので、時期が来たら塗装をするか葺き替えが必要です。

価格

新築のときというのは家全体に費用がかかりますので、どうしても屋根材の価格は安いものを選択しがちです。

その証拠にスレート瓦は比較的安価なため、新築時に採用されることが一番多い屋根材です。

陶器瓦はメンテナンスの必要があまりありませんが、初期費用は一番高くなります。

ガルバリウム鋼板やセメント瓦は価格がスレートより高く、陶器瓦より安い位置にあります。

金属屋根はブームでもあり、中でもトタン屋根は比較的安価ですので採用されるケースも近年は増えています。

リフォームと新築時の屋根材選び

屋根材を選ぶ際、リフォームと新築時では条件が異なることでしょう。

リフォームの場合は既存の屋根に重ね葺きができるのか、古い屋根材を撤去して新しく葺きなおすのか、価格ももちろん重要ですが、メンテナンス性も重視したいポイントです。新築の時と比べ屋根にかける予算をある程度確保できる場合もあるでしょうから、機能性を重視して選ぶかたが多いようです。

新築時は全体の予算があり、屋根部分にかける予算を抑えることになりがちです。ですが本来はこまめなメンテナンスが必要な安い屋根材を選ぶより、ある程度長持ちする屋根材を選択するほうが長い目でみると生涯かかる費用は安くなるのです。

屋根材選びがなぜ重要か

屋根というのは常に過酷な環境にさらされている部分ですから、大切な建物の構造部分を守るためにもよく吟味して選択したいところです。

安価な屋根材を選び、定期的なメンテナンスを怠ると雨水が構造部分に侵入し、建物を支える柱や梁などが傷んでしまいます。

木材に雨水が浸透してしまうと床下や壁内が湿気にさらされてしまい、シロアリの餌食になってしまいます。シロアリは湿気と木が大好物なうえ、日本中土の中にはどこにでもいるものですので、防蟻をしていても5年が過ぎれば薬の効果は切れてしまい、その隙にシロアリは土の中から建物内に侵入してしまいます。また近隣の家にシロアリが発生すると飛んでくることもあるのです。

初期費用の安い屋根材を選ぶ時はこまめなメンテナンスをする覚悟で選択することが重要です。

まとめ

屋根材を選ぶ時のポイントは価格も含め、機能性、寿命、メンテナンス性などさまざまな点を考慮し総合的に判断をするようにしましょう。また選らんだ屋根材の特性を理解し、適切な時期に点検やメンテナンスをすることが大切な家を長持ちさせる秘訣といえるのではないでしょうか。

 

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