他のページでも書いたのですが、最近も人と話していて、外壁塗装=古いペンキの上から新しいペンキを塗る、と誤解をされている方が意外に多いことに驚かされました。それであのお値段だと、それは「外壁塗装は高い」という印象を持たれても仕方がありませんね。
業者が見積書を提出すると、クライアントさんはたいてい目を丸くされます。そしていぶかしげに内訳をチェックして、場にそぐわぬらしい言葉を見つけて反応されます。
「高圧洗浄って何?どこを洗うの?」
高圧洗浄機を使用すると結構な量の水を使いますし、省けるものなら省いてほしいと提案してこられる方も少なくありません。
しかし高圧洗浄は、外壁塗装の前にぜひとも行いたい大切な工程です。
そこで今回は、高圧洗浄の必要性や作業の内容、気になる水道代などについて説明していこうと思います。
高圧洗浄とは?
高圧洗浄は、新しい塗料を塗る前に、今ある壁を綺麗にする工程です。
昔の塗装作業では、そもそも高圧洗浄機がありませんでしたから、外壁塗装作業で当たり前になってきたのはごくごく最近のことです。
そうしたこともあって、「昔はやってなかったんだから、別にやらなくたっていいんだろう?」と考える人がいらっしゃいます。しかし、なかった時代は仕方がありませんが、現にある以上、その絶大な効果を知ってしまうと、やはり旧には戻れないのが現状です。塗装を成功させるため、出来栄えをよくするため、今やなくてはならない工程になっていると言っても過言ではありません。
しっかり塗るためにしっかり落とす
汚れている部分に新しい塗料を塗っても正しく密着しません。グレードの高い塗料を塗ったとしても、汚れのせいですぐに剥がれてしまって、せっかくの作業が台無しになってしまいます。
新しい塗料の耐久性を高めるためには、外壁表面の汚れを取り除き、綺麗にした状態で塗ることが重要なのです。
「高圧」だからこそ頑固な汚れも
外壁表面についている汚れは、泥や砂といった落としやすいものだけでなく、カビやコケといった頑固なものもあります。
ブラシで落とせないことはありませんが、手間ひまがかかりますし、手作業だとどうしても均等に落とし切るのが難しくなります。そこで機械の圧による洗浄が効果を発揮するわけです。
また、剥がれかけの古い塗膜も新しい塗料の邪魔をします。仮に古い塗膜の上に新塗料を塗っても、古い塗膜が剥がれれば、新しい塗膜もあわせて剥がれてしまうことになります。
一度まっさらな状態にしないと、新しい塗料の効果が発揮・持続しにくくなるので、塗装前の工程として高圧洗浄はやはり欠かすことができません。
水道代はどれくらい?
高圧洗浄作業の費用は、外壁の面積によって異なります。単価は相場で㎡あたり100円から300円程度が目安で、見積書には㎡あたりの単価とおおよその外壁の面積が記載されているはずです。一般的な住まいだと数万円でおさまるのではないでしょうか。
ただ、見積書に記載されているのは高圧洗浄の作業代です。それにプラスされるのが水道代です。高圧洗浄機は、かなりの水圧で水を噴射しているイメージがあり、外壁全部の汚れを取り除くのですから、どれだけ水を使用するのかと気になりますよね。
実は、丸一日水道を使用したとしても、1,500~2,000円程度でおさまることがほとんどです。高くても数千円程度なので、「水道代が高いのでは?」と気になる方も安心していただけるのではないでしょうか。
注意点・知っておくべき点
次に、高圧洗浄の作業について、作業時間や近隣への配慮など、知っておくべきポイントをいくつか紹介します。
汚れがちゃんと取れるのか
専門業者が使用する高圧洗浄機は、家庭用のものと比べてパワーがあり、水圧が強い分、コケやカビなどのがんこな汚れもきれいに落とせます。
ただし、こびりつきがひどければ威力のある高圧洗浄機を使っても完全に汚れが落としきれないケースもあります。そのため、その部分だけを手作業で汚れ落としすることもあります。
高圧洗浄をするには周辺への配慮が必要
高圧洗浄では細かな水が周囲に飛び散るので、飛散防止シートでこれを防ぎます。しかし、完全に防げるわけではありません。特に、住宅密集地では隣の家がとても近くにあることもあります。
シートで防ぎきれない水しぶきは、周辺に飛び散って洗濯ものや布団などを汚してしまうかもしれません。当日は洗濯ものを干すのを控えてもらうように、ご近所さんにお知らせしておかなければならないでしょう。
また、周辺に飛び散るのはカビやコケ、旧塗膜などの汚れが混じっている洗浄水です。万が一、隣家の車にかかっては大変なことです。それを防ぐために、必要があれば、車にカバーをしてもらいましょう。
外壁塗装では、高圧洗浄の工程に限らず、隣家への配慮は大切です。
一般的な塗装業者は、工事前に工程の説明も兼ねて近所へ挨拶に回ってくれます。とはいえ、施主からの挨拶がないと不機嫌になる人もいるかもしれません。
隣家との距離がかなり近いケースでは、自分からも丁寧にお話ししてトラブルにならないようにしたいものです。
適切な作業時間は?
高圧洗浄にかかる時間ですが、外壁と屋根をセットで塗装するケースで平均的な一般住宅だと丸1日かかるとイメージしておきましょう。汚れの頑固度にもよるかもしれませんが、丁寧に除去作業をするならそのくらいが妥当な作業時間です。
乾燥してから塗らないとダメ
大量の水を噴射した外壁はもちろんすぐには乾きません。水分を含んだ表面に新しい塗料を塗ると、表面と塗料が密着しません。塗料のつきが悪くなるばかりか、膨れた状態となり仕上がりが悪くなります。高圧洗浄で洗った後には、完全に乾燥させてからの塗装が基本です。
季節や天候によって乾燥時間は変わるのですが、高圧洗浄後、丸2日乾燥させるのが一般的です。乾燥しやすい時期だとそれ以下で済み、最低でも24時間の乾燥時間が必要と考えられています。
作業前に内容を確認しておこう
おそらく一般的な塗装業者は、作業に入る前におおよその説明をしてくれるかと思います。高圧洗浄のときにはどのくらいの時間がかかるかについて、事前に聞いておきましょう。
塗装業者によってはやらないこともあるの?
いままでのお話しで「高圧洗浄はとても大事な工程」であることが分かってもらえたかと思います。ただ、高圧洗浄機が主流になったのは比較的最近のことです。
古くからの塗装業者の場合、「手作業でできるから機械で洗浄しなくてもいい」と敢えて高圧洗浄機を使わないところも少なからずあります。
「高圧洗浄をしない」という考えの職人さんは、長年の経験でブラシやサンドペーパーで汚れを丁寧に取りきる自信があるのでしょうから、高圧洗浄をしないからといって手抜きというわけでは決してありません。
ただ、高圧洗浄は手作業では取り切れない細かい汚れを機械のパワーでスムーズに落とせる方法です。今の時代に合った効率的な方法を柔軟に取り入れている塗装業者は、高圧洗浄の工程を取り入れていることが多いですね。
まとめ
高圧洗浄の必要性について説明してみました。
塗装前の大事な作業であることがお分かりいただけたでしょう。気になる水道代についても、極端に高いということはなく、数千円程度で済むので、そこまで心配する必要はないのではないでしょうか。
ただし高圧洗浄には、「乾燥させてから塗る」「近隣への配慮が必要」など、注意すべき点もあります。予備知識として理解しておくと、業者との打ち合わせも円滑に行えるだろうと思います。
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