屋根材としてシェア率の高いスレートは、軽量かつ安価というメリットがある一方、割れやすいというデメリットもあります。
スレート屋根の軽度のヒビ割れおよび破損であれば、事故防止策を万全にとったうえでDIY補修が可能です。
今回はスレート屋根をDIYで補修できるかどうかの見極めポイントや、実際の作業の手順について解説します。
DIYできるのはどこまで?スレート屋根の見極めポイント
スレート屋根の状態によって、DIYで補修が可能か、専門業者に依頼すべきかを判断します。
なお、屋根の勾配が急な家はスレートの状態に限らず、DIYはおすすめしません。急勾配の屋根上は不安定かつ落下事故のリスクが非常に高いため、屋根工事の専門業者に依頼しましょう。
スレートの一部がヒビ割れている場合
スレートの一部に軽度のヒビ割れがある場合は、DIYで補修が可能です。コーキングを充填したり、防水テープを貼り付けたりしてひび割れを補修します。
一部雨漏りしている場合
雨漏りが発生している場合は、業者に補修を依頼しましょう。
スレート屋根の下には「ルーフィング」と呼ばれる防水シートが張られています。家の雨漏りを防いでいるのはこの防水シートであり、屋根材はこの防水シートを守る役割を担っています。
雨漏りが発生しているということは、屋根材だけでなく防水シートまで劣化しているということに他なりません。DIYでは補修できないため必ず業者に依頼しましょう。
棟板金が浮いている場合
棟板金が浮いている場合は、業者に補修を依頼しましょう。
棟板金とは、スレート屋根の頂点にある山形の金属板のことです。築10年ほどが経つと、棟板金を固定しているクギが劣化して棟板金が浮いたり、強風などで外れたりします。放置し続けると雨漏りの原因となるため、速やかに補修しなければなりません。
スレート全体にヒビ割れがある場合
スレート屋根の全体にヒビ割れが見られる場合はDIYでの補修が困難なため、業者に依頼をおすすめします。
また全体的に傷みがあるということは、スレートが寿命を迎えていることが考えられます。カバー工法による屋根材の交換、もしくは葺き替えを検討しましょう。
築20年以上経っている場合
築20年以上が経過している場合はスレート屋根が寿命を迎えるタイミングなので、屋根材の交換もしくは葺き替えを専門業者に依頼しましょう。
なお、スレートの耐用年数は20~30年です。
DIYできるスレートの補修
前項「スレートの見極めポイント」で解説したように、スレートの一部が軽度のヒビ割れを起こしている程度であればDIYで補修が可能です。
ここでは、スレートのヒビ割れをコーキングで補修、防水テープで補修の2つの方法を解説します。
ヒビ割れをコーキングで補修する
スレートのヒビ割れ部分にコーキングと呼ばれるペースト状の接着剤を充填することで、損傷部分を塞ぎます。
実際の手順は以下のとおりです。
- コーキングを塗る箇所をきれいに清掃する
- ヒビ割れ部分にコーキングを充填する
- コーキングが平らになるように伸ばす
- 24時間ほど乾燥させて補修完了
作業自体は簡単かつ勾配のゆるい屋根であれば足場を組む必要もないため、5,000円~1万円程度の費用で補修できます。
ヒビ割れに防水テープを貼り付ける
防水テープは補修箇所の長さに併せて切って貼り付けるだけなので、コーキングよりも補修作業は簡単です。商品によって異なりますが、粘着力が強い物も多いため、多少の雨や風では剥がれる心配がありません。
テープを切って貼りつけるだけで作業が完了するので、DIY初心者にもおすすめです。防水テープでの補修費用も5,000円程度とお手頃です。
大きなスレートの欠けを部分交換で補修する
スレートに大きな欠けがある場合は、コーキングを使って新しいスレートに交換します。
実際の手順は以下のとおりです。
- 屋根材の破片を除去
- コーキングを塗布する部分を清掃
- コーキングを塗布する
- 新しいスレートをはめる
新しいスレートとコーキングで2万円~3万円が費用の目安です。
ただしスレート屋根材の中には、一度棟を解体してからでないと部分補修ができないものもあります。その場合は専門業者に補修を依頼しましょう。
スレートの補修をDIYで行う場合の注意点
屋根の修理は高所での作業となるため、安全第一で行いましょう。ここでは、スレートの補修をDIYで行う場合の注意点について解説します。
簡単な作業でも事故防止は万全に
今回ご紹介したスレート屋根のDIY補修はいずれも簡単な作業ですが、屋根上という高所での作業は落下事故のリスクが伴います。
安全帯・ヘルメット・滑り止め付き安全靴の3点セットは必ず準備して、事故防止を万全にして作業を行いましょう。
風による屋根の破損は業者に依頼を
強風や台風によってスレート屋根が破損した場合は、火災保険の「風災」を適用できる場合があるため、DIYではなく業者に依頼しましょう。
火災保険が適用されれば、業者に依頼した費用の一部または全額が補償されます。
まとめ
DIYが可能なスレート屋根の補修について解説しました。
コーキングや防水テープを使えばDIYでも簡単に補修できますが、高所での作業は危険が伴うため、補修作業は屋根工事のプロに依頼したほうが安心です。
なお、今回ご紹介したDIYの方法は、あくまでもスレートの軽度のヒビ割れや欠けの応急処置です。屋根全体が劣化していたり、耐用年数を超えている場合は、必ず業者に依頼して補修しましょう。