自然素材を使った塗り壁材には、珪藻土(けいそうど)と漆喰(しっくい)があります。
家を建てるときや壁の塗替えリフォームのときに、珪藻土もしくは漆喰を使用したい場合は、それぞれの塗り壁材にどのような特徴があり、違いは何か、メンテナンスはどのようにすれば良いのか、理解したうえで施工業者を選びましょう。
今回は珪藻土と漆喰の違いや、両者のメリット・デメリットについて解説します。
珪藻土と漆喰の違い
珪藻土と漆喰の違いを簡単にまとめると、「見た目の違い」と「調湿性能」です。
素材の種類 | 見た目の違い | 調湿性能 |
珪藻土 | 表面がザラザラとした仕上がり | 優れている(200g以上/㎡/24h) |
漆喰 | 表面がなめらかでツルツルとした仕上がり | 乏しい(40g/㎡/24h) |
まず見た目の違いを挙げると、珪藻土は多くの場合で表面がザラザラとしていますが、漆喰は表面がペンキで塗ったかのようになめらかでツルツルとした仕上がりになります。
次に調湿性能の違いですが、調湿性能とは空間の湿度を調整する性能のことです。珪藻土は調湿性能に優れ、24時間に1㎡あたり200g以上の湿度調整量を持つ製品もあります。一方、漆喰にも調湿性能はありますが、24時間に1㎡あたり40g程度です。
次項からは珪藻土と漆喰のそれぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
珪藻土の特徴
珪藻土は植物性プランクトンの一種である「珪藻(けいそう)」の化石が堆積してできた素材です。
耐火性能に優れているため、古くから七輪やレンガの素材として利用されてきました。
さらに、非常に細かい孔(あな)が無数に空いており、この孔のはたらきによって優れた調湿作用をもたらします。
日本の住宅では内壁の塗り壁材として使用されることが多く、外壁にはあまり適していません。
珪藻土のメリット
- 耐火性に優れる
- 調湿性能がある
- 脱臭性能がある
塗り壁材に珪藻土を使用すると湿度の高いときには湿気を吸収し、冬乾燥しているときには放出するため、結露対策になります。
また、吸湿する際にニオイ分子も吸収するほか、強アルカリ性の素材を混ぜることで高い防カビ効果や防菌効果を発揮します。
珪藻土が塗り壁材として使用されるようになったのは最近のことで、現在も進化を続けている素材です。
珪藻土のデメリット
- 汚れに弱い
- カビが発生しやすい
珪藻土は汚れに弱く、醤油やコーヒーをこぼしてしまうとシミになってしまう可能性があります。
汚れたときにすぐに拭き取れば問題ありませんが、シミになってしまった場合は漂白剤の使用がおすすめです。
さらに、吸湿性能が高い反面、取り扱い方法によってはカビが生える場合もあります。
カビが生えてしまった場合は紙やすりで削り取ることができます。
漆喰の特徴
漆喰は消石灰(水酸化カルシウム)につなぎ材の糊(のり)やスサを加えて水で練った素材です。
日本だけでなく世界中で塗り壁材として使用されてきた歴史があり、民家の壁はもちろん、蔵やお城の壁にも広く用いられています。
そのため、和風のお家だけでなく洋風のお家の壁にもおすすめです。
漆喰のメリット
- 調湿作用がある
- 劣化しにくい
- 耐火性に優れる
珪藻土ほどではありませんが、漆喰にも湿度を調整する調湿作用があります。年間通じて部屋の湿度を調整するため、結露やカビ対策としても役立つ塗り壁材です。
また、蔵やお城に使用されているように、耐久性が高く劣化しにくいいところもメリットです。漆喰の耐用年数は100年以上とも言われており、しっかりとメンテナンスを行えばきれいな状態を長年にわたって保つことができます。
ほかにも不燃材料として建築基準法で認可された耐火性があるため、漆喰の壁は防火対策にもなります。
漆喰のデメリット
- 汚れやすい
- 施工できる職人が少ない
漆喰も珪藻土と同じく、調湿作用があることから、汚れも吸収しやすいというデメリットがあります。
醤油やコーヒーなどを漆喰壁にこぼしてしまった場合は、すぐに水で濡らした布で軽く叩いて拭き取りましょう。
どうしてもシミが取れない場合は、消しゴムやヤスリなどで削り取る必要があります。
さらに、近年は漆喰を施工できる左官職人の数が減っており、対応できる施工業者を探すのが難しいこともデメリットと言えます。
まとめ
珪藻土と漆喰の違い、それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。
家を建てるときや壁を塗り替えするときは、両者の特徴を理解した上で、適材適所で使用するようにしましょう。
外壁に珪藻土や漆喰を使用するときは、施工実績が豊富で高い専門性を持った施工業者に依頼することが大切です。
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