現在の住宅屋根の主流は「ガルバリウム鋼板」と呼ばれる金属屋根です。
金属でありながら錆に強く、耐久性も高いため、屋根材はもちろん外壁材としても採用されることが増えています。
今回はガルバリウム鋼板のメリット・デメリットや、既存屋根をガルバリウム鋼板にリフォームするときにかかる費用の相場を解説します。
ガルバリウム鋼板とは
ガルバリウム鋼板とは、ガルバリウム合金でメッキ加工された金属板のことです。
これまで住宅の屋根はセメントに繊維素材を混ぜて薄い板状に加工した「化粧スレート(コロニアル)」が主流でしたが、2017年にガルバリウム鋼板を含む金属屋根が化粧スレートを抑えてトップシェアとなっています。
耐用年数はおよそ25年~35年で、スレート屋根の30年よりも長持ちします。
ガルバリウム鋼板の屋根にするメリット
ガルバリウム鋼板には、以下に挙げるメリットがあります。
耐久性に優れる
ガルバリウム鋼板は金属屋根材でありながら耐錆性が高く、定期的にメンテナンスを行えば、耐用年数を40年以上に伸ばすことができます。
耐震性に優れる
ガルバリウム鋼板の重量はスレートの4分の1、瓦屋根の8分の1と非常に軽量です。重い屋根から軽い屋根に交換すると建物全体の重心が下がるため、地震の揺れに強い家になります。
断熱性に優れる
ガルバリウム鋼板は断熱材とセットになっていることが多く、室内の温度上昇を抑える性質があります。屋根の断熱性能が向上すれば夏場の冷房効率がアップするため、光熱費の節約に期待できます。
作業しやすくメンテナンス性も高い
ガルバリウム鋼板は軽量のため、非常に作業しやすい建材です。短時間で既存屋根と交換することができ、他の建材に比べて簡単にメンテナンス作業ができます。さらに、廃材はリサイクルできるため、廃棄処分の費用がかかりません。
ガルバリウム鋼板の屋根にするデメリット
ガルバリウム鋼板の屋根には以下に挙げるデメリットもあります。屋根のリフォームをするときはメリット・デメリットの両方を知ったうえで最適な屋根材を検討しましょう。
スレートよりもコストが高い
ガルバリウム鋼板はスレート屋根材よりも単価が高めです。とくに断熱材とセットになっているものは割高となります。ただし、後述するようにガルバリウム鋼板はカバー工法を採用できるため、既存の屋根材を撤去する費用がかかりません。
周囲の環境によっては錆が発生する
ガルバリウム鋼板は錆にくい屋根材ですが、金属である以上は絶対に錆びないわけではありません。海岸近くで潮風にさらされたり、工場の近くで排気ガスに触れたりすると、「電食」と呼ばれる電気化学的な作用によって腐食してしまいます。電食を引き起こすような環境でガルバリウム鋼板を用いる場合は、こまめなメンテナンスが必要不可欠です。
ガルバリウム鋼板の屋根にするリフォームの費用相場
既存の屋根材をガルバリウム鋼板にするときには、以下の条件に合わせて「カバー工法」か「葺き替え工法」を選びます。
既存屋根がコロニアル屋根(スレート)である・・・「カバー工法」
既存屋根が瓦、もしくは経年劣化が進んでいる・・・「葺き替え工法」
それぞれの工法の特徴と費用の相場について解説します。
カバー工法(重ね葺き)
費用相場:1㎡あたり1万円~2万円(足場費用含む)
カバー工法(重ね葺き)とは、既存の屋根材の上に「ルーフィング」と呼ばれる防水シートをかぶせ、さらにその上から新しい軽量の屋根を覆いかぶせる工法を指します。
既存の屋根を撤去する手間と費用がかからないため、葺き替えと比較して工事費用を安く、工事期間も1週間程度で済みます。おもにコロニアル屋根の上から、より軽量のガルバリウム鋼板(もしくはエスジーエル鋼板)をかぶせるときに採用されています。
なお、瓦屋根や古いトタン屋根、経年劣化がひどく屋根下地まで傷んでいる屋根は、カバー工法がおこなえません。
葺き替え工法
費用相場:1㎡あたり1万2,000円~2万5,000円(足場費用含む)
葺き替え工法とは、既存の屋根材を剥がして新しい屋根材に交換することです。
既存の屋根材の撤去に手間と費用を要するため、カバー工法よりも総工事費用が高く、工事期間も2週間程度かかります。ただし、葺き替え工法で屋根全体をリフォームすることにより、地震や台風などの自然災害に耐える屋根に刷新できるというメリットがあります。
既存の屋根材が瓦である場合や、経年劣化が下地材まで及んでいる場合は、葺き替えによって屋根全体をメンテナンスしましょう。
まとめ
既存の屋根材をガルバリウム鋼板にリフォームするときは、施工実績が豊富なリフォーム会社を選ぶことが大切です。
またガルバリウム鋼板は耐久性の高い屋根材ですが、メンテナンスを怠るとサビや劣化が発生します。10年に一度をめやすとして、プロによるメンテナンスを行いましょう。
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