天井仕上げ材の2つの工法や素材の種類ごとの特性について解説

天井仕上げ材の2つの工法や素材の種類ごとの特性について解説

天井は人の目線の上にあることから、壁や床に比べてあまり注目されませんが、快適な住まいづくりには欠かせない部分です。

天井にどのような仕上げ材(天井材)を使うかによって見た目はもちろん、断熱性や吸音性、調湿作用の有無なども異なります。

今回は天井仕上げの2つの工法をはじめとして、さまざまな天井仕上げ材の種類について解説します。

乾式工法と湿式工法

天井仕上げ材を施工する方法には、「乾式工法」と「湿式工法」の2種類があります。それぞれの工法の特徴や違いについてご紹介します。

既成部材を現場で取り付ける「乾式工法」

乾式工法の天井仕上げ材・・・ビニールクロス、無垢材・合板材、石膏ボードなど

乾式工法は、工場で生産されたクロスやパネルなどの既成部材を施工現場で取り付ける工法です。現在、住宅の天井仕上げ材の施工方法の主流となっています。

湿式工法に比べて短期間かつ低コストで施工でき、熟練の職人でなくとも一定以上の品質の仕上がりになるというメリットがあります。

職人が刷毛やコテで塗りつける「湿式工法」

湿式工法の天井仕上げ材・・・珪藻土、漆喰、モルタルなど

湿式工法は、塗装や左官仕上げなど、職人が刷毛やコテを用いて仕上げる工法です。日本の伝統的な工法で、天井の塗材には漆喰や珪藻土、モルタルなどが使用されます。

施工現場で塗材を練り、職人が刷毛やコテを使って天井下地材の上から塗って仕上げていきます。天井仕上げには高度な技術と経験が必要とされるため、乾式工法よりも手間とコストがかかります。

ただし、熟練の職人がコテや刷毛で仕上げた天井は既成部材よりも個性的で、塗材の独特な質感が味わえます。

乾式工法の天井仕上げ材の種類

代表的な乾式工法の天井仕上げ材は以下のとおりです。

  • クロス系・・・ビニールクロス、紙クロス等
  • 木質系・・・無垢材、合板材等
  • 無機質系・・・ロックウール板、繊維板、石膏ボード等

クロス系

クロス系はビニールクロスや紙クロス、布クロスなど、いわゆる壁紙と呼ばれる素材を指します。

代表的な素材はビニールクロスです。商品バリエーションが豊富にあり、比較的安価に手に入ることから、一般住宅や賃貸物件などで広く使用されます。

さらに、クロスには汚れ防止や防カビ、抗菌作用、耐水性、防火性、ペット対策などさまざまな機能が施されている商品が販売されています。

DIYでも簡単に張り替えができるほど、施工性に優れているところもメリットです。

木質系

木質系は無垢材や合板材など、木材を用いた天井仕上げ材です。

天然木から切り出したままの無垢材は、木の温かみや木目の美しさがあり、湿度を調整する調湿作用にも期待できます。

一方、複数の合板を貼り合わせた合板材は、無垢材のような自然のままの温もりや調湿効果こそないものの、比較的安価で木の質感を味わうことができます。

無機質系

無機質系は、パネル状やボード状に整形されたロックウール板、繊維板などを使用した天井仕上げ材です。他の乾式工法の素材に比べて吸音性能に優れ、調湿や断熱などの機能を持った商品もあります。

湿式工法の天井仕上げ材の種類

代表的な湿式工法の天井仕上げ材は以下のとおりです。

  • 漆喰(しっくい)
  • 珪藻土(けいそうど)
  • モルタル

漆喰(しっくい)

漆喰は消石灰(水酸化カルシウム)を主成分に、すさ(麻)や骨材などを混ぜた塗材です。防水性、調湿性、断熱性に優れ、ホルムアルデヒドを吸収する機能があることから、シックハウス症候群対策としても注目されています。

珪藻土(けいそうど)

珪藻土は、植物プランクトンの一種である珪藻の化石が堆積してできた素材です。耐火性に優れた土として、古くから七輪や耐火断熱レンガの原料として使用されてきました。

無数の小さな孔(あな)が空いており、脱臭性能、調湿作用、保温性、断熱性に優れます。

モルタル

モルタルは、セメントと砂(骨材)を水で練り合わせて作る塗材です。古くから日本住宅の塗材として使用されており、耐熱性や施工性の高さ、純白の仕上がり感で人気があります。

まとめ

天井は普段の生活では手の届かない場所であることから、天井仕上げ材を一度決めてしまうと容易に貼り替えができません。

天井仕上げ材を選ぶときは、必ず実物で確認されることをおすすめします。

また施工業者を選ぶときも、一括見積サイトや施工業者検索サービスなどを活用して、実績豊富で天井仕上げ材の特性に詳しい業者を選びましょう。

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