「珪藻土(けいそうど)」という素材をご存知でしょうか?
最近では、急速に足の裏の水分を吸収する「珪藻土マット」が話題となったこともあり、認知度が高まっています。
珪藻土は優れた吸水性能があることから、お風呂の足ふきマットだけでなく、住宅の塗り壁としても使用されています。
今回は珪藻土のメリットやデメリット、住宅の内装の壁に珪藻土を使用するときの業者選びのポイントについて解説します。
珪藻土とは
珪藻土は、植物性プランクトンの一種である珪藻の殻が化石になってできた堆積物です。
珪藻の殻には非常に細かい孔(あな)が無数に空いており、この孔のはたらきによって調湿作用をもたらします。
住宅では塗り壁材として使われていて、夏場の暑く湿気が多い場合は湿気を吸収し、冬場の寒く乾燥している場合は湿気を放出して、結露対策建材として活用されます。
さらに、耐火性や断熱性、消臭機能に優れていることから、健康的で気持ちの良い空間づくりに活かせる建材として人気があります。
珪藻土を壁に使うメリット
珪藻土を住宅の壁に使うことで、以下のようなメリットが得られます。
調湿作用によって結露を防ぐ
珪藻土は全体に無数の孔が空いています。
この孔には湿気を吸収したり、放出したりして空間の湿度を調整する調湿作用があります。
したがって、ジメジメが気になる、結露ができやすいといったお部屋の壁に使うと、快適で健康的な空間づくりができます。
耐火性に優れている
珪藻土は融点が1,250度と耐火性に優れていることから、七輪や断熱レンガの素材としても利用されています。
住宅の壁に使用すれば、延焼を防ぐ防火壁として、万が一の火事への備えとなるでしょう。
脱臭効果がある
珪藻土の無数の孔は空気中の湿気とともにニオイ分子も吸収するため、お部屋の脱臭効果に期待できます。
お部屋の壁に珪藻土を使用されているご家庭では、施工から5年経っても猫のニオイが気にならないという声もあり、ペットのニオイを気にされる方におすすめです。
カラーバリエーションが豊富
珪藻土は顔料(着色料)を混ぜることで、数十種類から数百種類の色を出すことができます。
ベージュや白色といった基本色はもちろん、お部屋のアクセントに使えるブルーやオレンジといった色の使い分けも可能です。
珪藻土を壁に使うデメリット
珪藻土には以下に挙げるようなデメリットもあります。
クロスに比べて施工費用が高い
珪藻土に限らず、塗り壁は一般的な壁紙クロスと比較して3倍~5倍の費用がかかります。
たとえば、一般的な壁紙クロスを貼る場合の費用(クロス価格+施工費)は1㎡あたり1,000円前後ですが、珪藻土の場合は1㎡あたり3,000円~5,000円かかります。
ただし、クロスの耐用年数が5~10年であるのに対し、珪藻土の塗り壁は定期メンテナンスを行うことで、30年~50年は持ちます。
初期費用こそかかりますが、長い目で見ると珪藻土のほうがかえって費用を抑えることができます。
汚れに弱い
珪藻土は水分を吸収しやすい性質があります。
そのため、子どもが落書きしたり、醤油などをこぼしたりすると、表面の汚れと共に水分を吸収してしまってシミの原因となります。
珪藻土の施工を業者に依頼するときのポイント
珪藻土を使った塗り壁は、職人の技術力によって仕上がりが左右されます。
珪藻土の施工を業者に選ぶときのポイントを以下にまとめました。
専門の施工業者か
塗り壁を依頼するときは、専門の職人である「左官業者」に依頼します。
専門の技術が必要となるため、近所の施工業者に依頼しても、珪藻土を使った壁の仕上げができないと言われる可能性もあります。
珪藻土の塗り壁を依頼するときは、相手が実績豊富な左官業者かどうかを確認しましょう。
内装の塗装工事の実績が豊富か
内装に珪藻土を塗る場合は、内装の塗装工事が豊富な業者に依頼しましょう。
「塗り壁の実績が豊富」といっても、外壁の施工事例は多くても、内装の施工はほとんどやっていないという業者も少なくありません。
同じ塗り壁でも外壁と内装ではまったく違うため、内装工事の塗装実績を必ず確認することが重要です。
まとめ
珪藻土のメリット・デメリットと施工業者の選び方について解説しました。
内装に珪藻土の塗り壁を希望する方は、なるべく複数の左官業者に見積を依頼して、費用やプランを比較検討するようにしましょう。
専門的な技術を必要とする工事になるため、内装の塗り壁に珪藻土を使用した実績が豊富な左官業者の中から選ぶことが大切です。