内装工事の正しい勘定科目をご存知ですか?会計処理における耐用年数と減価償却のポイント

内装工事の正しい勘定科目をご存知ですか?会計処理における耐用年数と減価償却のポイント

店舗やオフィスの内装工事を行った場合の会計処理について、正しい勘定科目をご存知でしょうか?

内装工事は年に何回も行うというような代物ではないため、多くの経営者の方にとって頭を悩ませる問題の一つです。

今回は店舗やオフィスの内装工事について、勘定科目の正しい選び方や、減価償却の基本の考え方、合理的な耐用年数の決め方などを解説します。

内装工事の勘定科目は何を選べば良いか?

内装工事の仕訳では、原則として「建物」か「建物付属物」のいずれかの勘定科目を利用します。

会計処理の際には、内装工事の各項目を「建物」に区分するか、「建物付属設備」に区分するかがわかりにくく、悩まされる事業者の方も少なくありません。

建物附属設備とは、建物と一体となって機能を発揮する付属設備のことで、具体的に以下のようなものが当てはまります。

  • 電気設備(照明設備を含む)
  • 給排水又は衛生設備及びガス設備
  • 冷房、暖房、通風又はボイラー設備
  • 昇降機設備(エレベーター、エスカレーター)

したがって、会計処理の際にはまず建物附属設備に該当するものを「建物付属設備」で処理し、それ以外のものを「建物」で区分すると、混同することがありません。

内装工事をした建物・建物付属物の「耐用年数」の導き方

建物、建物付属設備ともに、内装工事は「減価償却」の対象となっています。

減価償却とは、固定資産の取得のためにかかったお金を、その年度ですべて費用として計上するのではなく、収益を得るために利用した期間に応じて費用計上することです。

たとえば、飲食店が厨房の内装工事を500万円で行い、支払いをその年度で一度に経費として計上すると、それまで黒字経営できていたとしても、その年から赤字に転落してしまう可能性があります。

そこで、減価償却によって500万円の内装工事の代金を、一定期間、毎年少しずつ経費として計上していくことができます。

ここでいう「一定期間」とは、内装工事に関しては「耐用年数」がそのカギとなります。

建物の耐用年数

国税庁が定める、事務所・店舗・飲食店における「建物」の内装工事の耐用年数のルールは、以下のとおりです。

構造・用途 細目 耐用年数
木造・合成樹脂造のもの 事務所用のもの
店舗用・住宅用のもの
飲食店用のもの
24年
22年
20年
木骨モルタル造のもの 事務所用のもの
店舗用・住宅用のもの
飲食店用のもの
22年
20年
19年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの 事務所用のもの
店舗用・住宅用のもの
飲食店用のもの
22年
20年
※a34年・41年
れんが造・石造・ブロック造のもの 事務所用のもの
店舗用・住宅用のもの
飲食店用のもの
41年
38年
38年
金属造のもの 事務所用のもの
店舗用・住宅用のもの
飲食店用のもの
※b38年・30年・22年
24年・27年・19年
31年・25年・19年

参考:国税庁 耐用年数(建物/建物附属設備)

※a延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超えるもの34年、その他のもの41年

※b骨格材の肉厚が、4㎜を超・3㎜超~4㎜以下・3㎜以下のもの(肉厚が大きいほど耐用年数が長い、以下同じ)

建物付属物の耐用年数

国税庁が定める、事務所・店舗・飲食店における「建物付属物」の内装工事の耐用年数のルールは、以下のとおりです。

構造・用途 細目 耐用年数
アーケード・日よけ設備 主として金属製のもの
その他のもの
15年
8年
店舗簡易装備 ※c 3年
電気設備(照明設備を含む。) 蓄電池電源設備
その他のもの
6年
15年
給排水・衛生設備、ガス設備 15年

※c装飾を兼ねた壁板やカウンター等が該当

建物附属設備について詳しく解説した記事がありますのでこちらもぜひご覧ください。

アパート経営の税金対策!建物附属設備に振り分けることの節税効果とは

賃借物件の内装工事を行ったケース

「建物」のうち、賃借物件の内装工事の勘定科目は、自社が所有している物件と同様の処理方法です。

ただし、耐用年数に関しては、「期間の定めがある賃貸借契約」か、「期間の定めがない賃貸借契約」かで分けられます。

「期間の定めがある賃貸借契約」とは、オフィスや店舗を借りる契約期間が決まっており、なおかつ更新ができない契約のことです。

この場合は、「賃貸借の期間」がそのまま耐用年数に適用されます。

「期間の定めがない賃貸借契約」とは、賃借期間を定めない契約、あるいは、あらかじめ契約期間が決まっていても、満期になれば更新できる契約のことです。

この場合の耐用年数は、「用途や材質に応じて合理的に見積った耐用年数」か、「賃借期間」のいずれかが選択できます。

以上のことから、合理的に見積もった耐用年数は、10~15年が目安とされています。

↓減価償却、耐用年数についてさらに詳しく解説した記事をご確認ください。↓

内装工事の費用の減価償却は「耐用年数」がカギ!会計処理のポイントについて解説

まとめ

内装工事の勘定科目、および減価償却の考え方について解説しました。

内装工事を行った場合の会計処理は、先に「建物付属設備」に該当するものから処理し、それ以外のものを「建物」で処理するが基本です。

また、内装工事に関する耐用年数は、構造・用途に応じて合理的に見積もる必要があります。

会計処理は経営者にとって頭を悩ませる課題のひとつですが、税務申告や会計処理に不安がある場合は、ぜひ税理士や会計士に相談しましょう。

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