新たに飲食店や小売店など、店舗をオープンしようとする経営者の方にとって、内装工事はお店の売上を左右するほど大切なプロセスです。
しかし、初めて店舗を構える方にとっては、内装工事までにどのようなスケジュールで進めていくのか、どれくらいの費用や期間がかかるのか、疑問点も多いのではないでしょうか?
一般的な店舗の内装工事は、以下の流れで進行します。
- 立地・物件選び
- デザイン設計会社・施工会社選び
- 内装業者と契約
- 内装工事
- 引き渡し
今回は店舗の内装工事の基本的な流れを、着工前の立地・物件選びの段階から解説していきます。
1.立地・物件選び
どれだけ内装にお金をかけても、お客様が来店しづらい場所にある立地・物件では、お店の魅力は半減してしまいます。
あらかじめオープン日が決まっている場合は、ゆっくり立地や物件を選んでいる暇がないかもしれませんが、できれば2週間位は期間をとっておくと良いでしょう。
店舗物件を仮押さえしたら、続いて融資の申込みをしますが、この段階ではまだ物件の契約は行いません。
先に契約してしまうと、物件取得費が発生してしまうからです。
不動産会社にはあらかじめ手付金の有無や、万が一、融資が受けられなかった場合の条件等を確認しておきましょう。
2.デザイン設計会社・施工会社選び
物件が決まったら、続いて内装のデザイン設計会社および工事の施工会社を選びます。
信頼のできる2~3社に物件の現地調査をしてもらったうえで、相見積りを依頼して他社と比較すると良いでしょう。
また、内装工事では、デザイン・設計と工事を同じ会社に依頼するか、別々の2社に依頼するかの二択となります。
ヘアーサロンやアパレルショップなど、お店のデザインが売上に大きく影響するような業種であれば、最先端のトレンドを取り入れた内装を提案してくれるデザイン設計会社に依頼、工事は施工会社に依頼すると良いでしょう。
しかし、その場合はデザイン・設計が完了次第、施工会社を選定する必要があるため、工事完了までに時間がかかるのと、別途デザイン料がかかるため、費用も高額になります。
一方、デザインに強いこだわりがないのであれば、設計から工事までを一括で請け負う施工業者に依頼したほうが、時間的・資金的コストが抑えられます。
内装工事会社もデザイナーを抱えているため、施工実績などでおおよその方向性や完成イメージを確認することができるでしょう。
3.内装業者と契約
依頼する会社が決定したら、いよいよ内装工事の契約を結びます。
あいまいな部分を残したままサインをしてしまうと、思わぬトラブルに発展する可能性があるため、契約内容は事前にしっかりとチェックしなければなりません。
契約内容で必ずチェックしておくべき項目は、以下のとおりです。
- 追加工事や別途工事の有無
- 費用の支払い方法・支払日
- アフターフォローの有無
- 保証期間
とくに工事費用の支払い方法については、施工業者と契約書を見ながら、しっかりと確認しておく必要があります。
一般的に、500万円以下の工事の場合は、契約時と工事完了後の2回に分けて費用を支払います。500万円を超える工事の場合は、契約時・工事の中間期・工事完了後の合計3回に分けて支払うようにすると安心です。
さらに、工事が遅れた場合の対処についても考慮しておかなければなりません。
工事が遅れると店舗のオープン日がずれ込んでしまい、売上の機会損失につながるため、契約書には工期の遅延が発生した場合の保証など、リスクヘッジを講じておきましょう。
4.内装工事
契約が完了すれば、いよいよ内装工事が始まります。
内装工事期間は、20坪の店舗で居抜き物件なら2~3週間、スケルトン物件であれば1ヶ月前後が目安です。
工事期間中は、なるべく現場に足を運び、業者と協力して内装工事を進めていきましょう。
全てを業者任せにして後で「イメージと違う」などと不満を漏らすのは、無用なトラブルに発展しかねません。
現場に足を運ぶことで、工事の進捗状況の確認や、疑問点やイメージ・コンセプトとの違いも指摘しやすくなります。
着工後はデザイン等で大きな変更はできませんが、照明の位置の変更や内装材の塗装については、初期段階であれば対応してもらえる可能性があります。
5.引き渡し
内装工事が終了したら、内装工事業者に同行してもらって竣工検査を行います。
大きな変更や修正はできませんが、塗装の剥がれやクロスの浮き、キズ、汚れなどがあれば、同行してもらっている業者に伝えて、修正を依頼しましょう。
修正後に問題がなければ、晴れて引き渡しとなり、店舗のオープンに備えるだけとなります。
まとめ
内装工事はお店の印象を決め、場合によっては売上や従業員のモチベーションをも左右する重要なプロセスです。
非常に専門的な知識、技術を要する工事ですが、経営者自身が「自分は素人だから、すべて業者さんにお任せ」という姿勢では、満足度の高い内装工事はできません。
気になることは常に質問をして、こちらの要望を伝えるようにしましょう。
したがって、確かな技術や豊富な実績があることはもちろん、自身のイメージやコンセプトを具現化してくれるような内装業者を選ぶことが大切です。