吹き付け塗装のデメリットとその対策は?

吹き付け塗装のデメリットとその対策は?

吹付塗装の特徴とデメリット

外壁の塗装には、大きく分けて塗料をスプレーガンで吹き付ける吹付塗装とローラーで塗るローラー塗装があります。吹付塗装をローラー塗装と比べた場合の特徴とデメリットについて紹介します。

高速塗布による塗料のロス

吹付塗装は手を使ってローラーや刷毛で塗料を塗るローラー工法の塗装に比べて高速に塗料を噴射するエアスプレーガンを利用するため噴射される塗料が飛び散り塗料のロスが発生します。
塗装の膜厚を確保するためこの飛び散りのロスを考慮に入れて多めに塗料を吹き付けているため塗料の使用量が多くローラー工法に比べて3割程度塗料の無駄が発生します。このためその分費用があがります。

養生に手間と時間がかかる

エアスプレーガンで高速で噴射するため広い範囲に塗料が飛び散ります。このため周囲に塗料が付着しないように広範囲に、特に周囲の植木や建具などに気を付けてキメ細かいしっかりした養生をする必要があります。手間がかかりすぎるため、住宅が多く密集して通路が狭いような場所での施工は避けられがちです。また、強風の日には塗料が舞い上がったりするため施工ができなくなることもあります。

高音の騒音のため密集住宅地域では迷惑になる

スプレーガンのコンプレッサーが高い音の機械音を出し、これが騒音として周囲の人に迷惑を掛けます。家が立て込んでいるような住宅密集地域での吹き付け工法は、クレームのもとになりやすく使えません。

職人の技術が必要

高速に塗料が噴射するため壁に均一に吹き付けて模様を出すためには職人の経験と技術が必要です。最近は技術を持った職人も減ってきて人手の確保が困難になっています。

耐久性

凹凸の模様の間にゴミなどが溜まりやすく汚れのもととなります。
また細かい模様のためヒビも入りやすく、そこから欠けなどの損傷に発展することがあります。

塗料の飛び散りに対する対策

吹付塗装はエアスプレーガンによる高速の塗布のため飛び散りが多く、その分塗料の塗布量が多くなります。このため以下のような対策が行われています。

スプレーガンの種類を選ぶことによる塗料の量の削減

スプレーガンにはコンプレッサーを用いて空気を圧縮して塗料を吹き出すエアスプレーガンと塗料自体にプランジャーで圧力をかけて噴き出すエアレススプレーガンがありますが、その構造上塗料が塗装面以外に飛び散る割合はエアスプレーガンの方がエアレススプレーガンに比べて2倍近く多くなります。塗布スピードは少し落ちるのですが飛び散りが少ないエアレススプレーガンが使われることも多くなりました。

周囲への塗料の飛び散り対策

塗料が近隣に飛散するためしっかりした養生が必要です。このためリフォームでは手間がかかるためあまり使われません。新築の場合は他の工事でも埃やごみがかなり出るため最初から建物全体をしっかりと養生して行うため、高速の吹付塗装が使われます。

耐久性に対する対策

細かく凹凸の模様ができ、デザイン性で好まれる吹付塗装ですがその美しさを保つためには様々な対策が必要です。

吹付塗装の壁の汚れや損傷に対する対策

吹付塗装の壁の汚れのもととなるのは埃や飛散するごみ、雨水に含まれる不純物、カビやコケなどです。長年の間風雨にさらされるとゴミやほこりが溜まり、そこにコケやカビが発生して腐食していきます。
壁全体の色が茶色く変質して行くものは土埃による汚れです。庭や畑が近くにあり風の強いところでは舞い上がった土が風で飛んできて付着していきます。
雨水には工場の排煙や車の排気ガスの成分が含まれていてこれが表面を酸化して腐食していきます。
雨が多く日の当たらない湿った場所ではどうしてもコケやカビの胞子が付着して表面に発生していきます。
これらの状態が進んでもろくなった表面は少しの刺激で欠けのもととなります。
これらを防ぐには以下のような対策が有効です。

日常行う対策

簡単に日常行う対策は水で洗うことです。ホースで水を散布するだけでも表面が洗い流されて綺麗になります。
また水を流すときにスポンジなどでこすれば表面の不純物が取れて綺麗になります。

道具を使っての対策

高圧洗浄機を使うと隅々まで水がいきわたり、ホースや手で取れない汚れもきれいに取れます。
水で洗うときに食器用の中性洗剤や専用の洗剤を使えば排気ガス中のススや油性の不純物なども落ちます。
またカビ、コケ剤を吹き付けてから洗浄すれば細かい目に見えないカビなども取ることができます。カビやコケは通常の洗剤では取れません。必ず専用の洗剤を使って下さい。
高圧洗浄機は水の圧力が強いので塗装表面が劣化しているとかえって痛めてしまうことがあるので注意が必要です。またシーリング部は高圧洗浄機の水を吹き付けると補填してあるゴム材が剥がれることがあるので避ける必要があります。

表面に傷を見つけた時の対策

欠けやヒビなどの損傷が見つかったら早めに業者に相談して補修をすることが必要です。ほっておくとさらに進んで却って手間と費用が掛かることになります。
吹付塗装にはその種類により耐用年数が決まっていて業者はそれに合わせて再度吹付塗装をすることを提案してきますが、部分的な傷などが出る場合は耐用年数が来る前でも部分的に再吹付塗装を行う方が結果として耐用年数が長くなります。

職人不足に対する対策

吹付塗装は職人の腕により出来上がりが異なりますが、年々良い技術を持った職人の数が減っています。良い職人を抱える工事業者をインターネットで調べて早めに予約を行っておくことが必要です。インターネットで予約してもどのぐらい先になるかを提示している業者もあります。
インターネットには吹付塗装の講習の記事なども載っており新規採用の新人に対してこれらの講習を積極的に受けさせているような教育熱心な業者を選定する必要があります。

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