現在、一般住宅の外壁材はサイディングが主流であり、中でも窯業系サイディングは一般住宅の外壁材シェアの7割を占めています。張り替えとは文字通り外壁を張り替えるリフォームのことであり、外壁に補修や塗装では修復ができない傷みがある場合は、張り替えを選択する必要があります。
今回はサイディング外壁の張替え工事について、リフォームが必要な時期や緊急の張り替えが必要なタイミング、工事の流れなどを解説していきます。
一般的なサイディングの張り替え時期
定期点検やシーリング増打ち、塗り替えなどのメンテナンスを5~10年周期で行っていれば、サイディング本体の寿命は30年以上とされています。
ただし、30年以上が経過すると劣化によって外壁の耐久性や防水性が低下します。劣化を放置すると雨漏りやカビなどの原因となり、補修の費用も膨れ上がってしまいます。
したがって、サイディングの張り替えは新築から30年が経過した頃を目安に検討しましょう。
早急にサイディングの張り替えが必要なタイミング
外壁に次の症状が見られる場合は、寿命を待たずただちに張り替えを検討すべきです。
サイディングボードのひび割れ(クラック)
窯業系サイディングは地震による揺れや外部からの強い衝撃により、ひび割れ(クラック)が生じることがあります。ひび割れが1ヶ所程度で軽度なものあれば、工事用の接着剤でくっつけて応急処置ができます。しかし、外壁の複数ヶ所にひび割れができている、ひび割れがきれいにくっつきそうにない場合は、部分的な補修よりも張り替えを検討したほうが良いでしょう。
サイディングボードの材の剥離
サイディングボードが表面から剥がれ落ちている状態(剥離)は、ただちに張り替えが必要です。また、押すと外壁全体が動く、触るとボロボロと崩れる状態は内部の下地にまで傷みが広がっている可能性もあります。
サイディングボードの反り・浮き
シーリングが雨風や紫外線によって劣化、サイディングボードが浮き上がったり沿ったりしている状態も張り替えが必要な場合があります。浮いている部分を手で押して元の位置に戻して固定できるのであれば部分補修でも間に合いますが、戻らない場合は張り替えが必要です。
金属サイディングのサビ
金属サイディングは長年、雨風にさらされることでサビが発生します。サビが進行すると内部にまで傷みが進行して腐敗してしまうため、張り替えが必要になります。
サイディングの張り替えの方法と費用
サイディング張り替えの具体的な工事内容、工期、費用について解説します。
サイディング張り替えの工事内容
サイディングの張り替え工事は以下の流れで行われます。すべての工程が完了するまで2週間~3週間ほどです。
①足場の組み立て(1日)
建物の外部全体に足場を設置します。
②既存外壁の撤去(3~5日)
古いサイディングボードを剥がして撤去する作業です。外壁内部に劣化やカビが発見された場合は修繕を行い外壁の強度を保ちます。
③防湿・防水シートの施工(1~2日)
サッシ周りの防水対策に、防湿・防水シートで家全体を覆っていきます。
④サイディングボード張り替え(8~14日)
張り替え専門の職人がサイズを合わせたサイディングボードを張り付けていきます。
⑤シーリング工事(1~3日)
コーキングとも呼ばれ、サイディングとサイディングの継ぎ目(目地)に合成樹脂や合成ゴム製の物質を充填する作業です。シーリングを行うことで防水性を高めて雨漏りを防ぎ、伸縮性を高めて地震に強い建物にします。
⑥足場解体・清掃(1日)
家全体を囲んでいた足場を解体して撤去し、建物周りを清掃して全ての工程が終了します。
サイディングの張り替えにかかる費用
サイディング張り替えの工事費用は、平均的な30坪2階建て住宅で100万~150万円が相場となります。張り替えに使用されるサイディング材の単価、工事費用は以下のとおりです。
・張り替えに使用されるサイディング材の費用相場
サイディング材の種類
単価(1平米あたり)
窯業系サイディング
4,000~6,000円
金属系サイディング
3,000~5,000円
木製サイディング
2,000~3,000円
樹脂サイディング
3,000~4,000円
・工事費用
サイディング材の種類
単価(1平米あたり)
足場の組み立て
800~1,000円
既存外壁材の撤去
800~1,000円
張り替え
2,000~3,000円
シーリング打ち
1,000~1,500円
資材運搬他
50,000~60,000円
張り替えのメリット
サイディングを張り替えリフォームのメリットは以下のとおりです。
外壁が新しくなるため家が長持ちする
張り替えは古い外壁材を全て撤去して新しくするため、外壁が新築同然になり、家を長持ちさせることができます。
断熱材を補修できる
既存のサイディングを剥がして壁内部の断熱材を補修、劣化やカビが発見された場合は修繕を行い外壁の断熱性能や耐久力を復活させることができます。
外壁からの雨漏りを防ぐ
外壁を全て新しいサイディングボードに張り替えるため、外壁の劣化やひび割れ等が原因で発生する雨漏りを防ぐことができます。
張り替えのデメリット
サイディングの張り替えには以下のようなデメリットもあります。
既存外壁の解体・撤去費用がかかる
既存の外壁を解体、撤去するための費用がかかります。廃材の処分費用は近年の値上がりにより、思わぬ高額となる場合があります。
粉じんや騒音が発生する
既存の外壁を撤去する際には、どうしても粉じんや騒音が発生します。あらかじめ近隣住宅へ挨拶回りをしておく必要があるでしょう。
工期が長い
外壁の張り替えリフォームは大規模な工事となるため、どうしても工期が長くかかってしまいます。工期の目安は2~3週間ですが、悪天候や繁忙期で延びる可能性があるため、タイミングを見計らって工事を計画する必要があります。
まとめ
サイディングの張り替えリフォームは大規模な工事となるため、早めにプロの業者に相談することが大切です。
外壁の状態によっては、塗装の塗り替えや重ね張りなど他のコストの安いリフォームで住む場合もあります。
早めにプロの業者に相談して現場調査を行うことで、最適なリフォームを選択することができます。
工事の前に複数の業者に見積もりを依頼して、説明の丁寧さや明瞭な料金設定などで質の高い業者を選びましょう。