現在主流の外壁材であるサイディングは、それまでの主流であったモルタル壁よりもデザイン性・耐久性の高さが魅力です。
しかし、丈夫そうに見える外壁も築年数が経てば劣化していき、メンテナンスが必要となります。
今回はサイディングの3種類のリフォームの方法、価格、それぞれのメリットとデメリットを解説していきます。
サイディングのリフォーム費用の価格帯
一般的な2階建て25坪の一軒家の外壁をリフォームした場合の価格、工期、耐用年数(次のリフォームまでのサイクル)をまとめると以下の表のとおりです。
工事の種類 | 価格 | 工期 | 耐用年数 |
外壁塗装 | 80万~150万円 | 約7日間 | 10~25年 |
外壁カバー工法 | 120万~200万円 | 約4日間 | 30~40年 |
外壁張替え | 150万~300万円 | 約7日間 | 30~40年 |
費用面で考えると一番安くリフォームできるのが塗り替えです。ただし、詳しくは後述しますが、塗料によって価格や耐用年数は変動します。一方で、外壁の寿命が近づいてきた場合や、ひび割れなどの致命的な不具合が発生した場合は外壁張替えや外壁カバー工法といった方法で外壁材を新しくする必要があります。
次章からは3種類のサイディングの外壁リフォームについて詳しく見ていきましょう。
外壁塗装
外壁塗装は新築から10年程度で行うリフォームで、外壁の耐久性、防水性を回復させるために行います。外壁塗装が必要になるタイミング、価格の相場、工期は以下のとおりです。
タイミング | 10年に1度、あるいはカビやコケ、チョーキングなどの不具合が発生しているとき |
価格相場 | 80万~150万円 |
工期 | 約7日間 |
新築の外壁も日光や雨風にさらされると劣化していきます。10年に1度、外壁のメンテナンスとしてサイディングボードの上からサイディング専用塗料を使って塗装をおすすめします。
塗料の種類と価格
外壁塗装に使用される主な塗料は以下のとおりです。それぞれ価格や耐用年数、性能が異なります。
塗料の種類 | 価格(1平米あたり) | 耐用年数 | 特徴・性能 |
アクリル系塗料 | 1,000~1,200円 | 4~7年 | 紫外線に弱い |
ウレタン系塗料 | 1,800~2,000円 | 6~10年 | 耐久性、密着性 |
シリコン系塗料 | 2,500~3,500円 | 8~15年 | 耐久性、耐候性、防汚性、防カビ性、防藻性 |
フッ素系塗料 | 3,500~5,500円 | 15~20年 | 耐久性、耐候性、撥水性、光沢感がある |
どの塗料にも一長一短ありますが、とくにこだわりがなければ現在もっとも外壁塗料として使用率が高い「シリコン系塗料」をおすすめします。一度塗装すれば10年以上にわたって外壁の耐久性を保つことができるため、コストパフォーマンスが抜群です。施主から強い希望がない限りは、塗装業者もシリコン系塗料をおすすめしています。
サイディングを塗装するメリット
塗装の最大のメリットは、リフォームの方法の中ではもっとも低価格で長持ちする建物へとつなげられることです。耐久性や防水性を高めた上で、建物の美観を保つことができるため、10年に1度の周期でのメンテナンスがおすすめです。
サイディングを塗装のデメリット
サイディング材の上から塗装するためには、あらかじめ高圧洗浄やシーラーといった下処理が必須です。サイディング剤や下処理に詳しくない塗装業者を選んでしまうと、塗料の性能を最大限に発揮できません。塗装業者選びは慎重に行いましょう。
外壁カバー工法
カバー工法とは、既存の外壁を残した状態で上から新しい外壁を重ねて張る工法を指します。外壁の強度は保たれているものの、そろそろ寿命を迎えるというタイミングで行うべきリフォームです。
タイミング | 築30年以上、サイディングにサビが見られる |
価格相場 | 120万~200万円 |
工期 | 約4日間 |
カバー工法は撤去費用や廃材処理費用などがほとんどかからないため、張替えよりもリーズナブルな価格で施工できます。さらに、外壁が二重になるため断熱性や遮音性の向上というメリットもあります。
サイディングの種類と価格
外壁材として使用されるサイディングには、主に以下の4種類があります。それぞれの価格、耐用年数、特徴は以下の表のとおりです。
外壁材の種類 | 価格(1平米あたり) | 耐用年数 | 特徴・性能 |
窯業系サイディング | 3,500~5,000円 | 7 ~10年 | 耐震性、耐火性、デザインが豊富 |
金属系サイディング | 4,000~6,000円 | 10~15年 | メンテナンスフリー、防水性、耐候性 |
木質系サイディング | 6,000~8,000円 | 7 ~10年 | 耐熱性、温かみのあるデザイン |
樹脂系サイディング | 7,000~9,000円 | 10~20年 | 耐候性、目地の補修が不要 |
どの素材を選ぶかにあたって、それぞれの性能や特徴を確認することが重要です。建物周辺の自然環境も考慮する必要があるため、リフォーム業者の提案から検討をすることも多くなります。
サイディングのカバー工法のメリット
カバー工法は張替えと違って、既存壁の解体や廃材処理にかかるコストをカットできます。比較的短い工期で外壁が新しくなるほか、二重壁の効果で断熱性、遮音性が向上します。価格に対して得られるそれらの効果は、3つのリフォームのうちもっとも優れていると言えるでしょう。
サイディングのカバー工法のデメリット
カバー工法のデメリットを強いて言うなら、壁が二重になることで重量やや増すため、地震のときは揺れが大きくなります。また、外壁の劣化具合によってはカバー工法が採用できず、張替えで対応せざるを得ない場合もあります。
外壁張替え
張替えは既存の外壁を解体、撤去して新しい外壁に張り替えるリフォームです。ひび割れやクラッキングなどの不具合が発生していたり、築年数からかなりの年数が経過していたりする場合は、外壁の張替えを検討したほうが良いでしょう。
タイミング | 築30年以上、サイディングにひび割れやクラッキングなどが見られる |
価格相場 | 150万~300万円 |
工期 | 約7日間 |
建物の構造によりますが、サイディングの種類を自由に選ぶことができるため、建物のイメージを大幅にチェンジすることも可能です。
サイディング張替えのメリット
既存壁を解体して壁の内側の下地まるごとメンテナンスするため、リフォーム後は安心して長く住み続けることができます。また、既存壁よりも軽い外壁材を使用すれば、耐震性を高めることも可能です。
サイディング張替えのデメリット
張替えの最大のデメリットは価格が高いことです。既存壁の解体と撤去が必要となるため、工期が長く人件費もかかります。
まとめ
サイディング外壁のリフォームの方法や価格、それぞれのメリット・デメリットを解説しました。
外壁のリフォームは、築年数からの経過や外壁の劣化具合、あるいは建物がある地域の自然環境も含めてベストな方法を選ぶことが重要です。施工技術はもちろん専門知識も必要となるため、リフォーム業者を選ぶ際は価格の安さだけでなく、過去の実績が豊富で専門知識もわかりやすく説明できる業者を選びましょう。
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