外壁塗装は家の見た目を左右する大事な要素であるとともに、雨風から外壁を守る重要な役割を果たしています。
外壁の塗装方法には、スプレーガンという機械を使って広範囲を短時間で塗装する「吹き付け工法」と、職人がローラーと刷毛で手塗りを行う「ローラー工法」があります。
どちらの塗装方法にも長所と短所があり、外壁リフォームの目的や予算を検討してベストな選択を行うことが重要です。
今回は吹き付け工法とローラー工法それぞれの特徴やメリット・デメリットについて両者を比較しながら解説していきます。
吹き付け工法とは
吹き付け工法とは、外壁塗装工事の仕上げにスプレーガンという道具を使って塗料を吹き付ける工法で、主にモルタル外壁の仕上げに行われます。さらに仕上げの方法には「リシン仕上げ」「スタッコ仕上げ」「吹き付けタイル仕上げ」の3種類があります。
吹き付け工法の最大の特徴は仕上がりの独特な模様や重厚感です。また、スプレーガンで広範囲に塗装できるため、施工時間が短縮できてコストも抑えられます。
ひと昔前まで一般住宅の外壁はモルタル材が主流だったため、吹き付け工法を行う業者も多かったのですが、外壁の主流がサイディングに移ってからは施工数が減少傾向にあります。
しかし、モルタル外壁の仕上げとしては依然として人気が高く、デザイン性のやや乏しい外壁の塗装によく用いられています。
ローラー工法とは
ローラー工法とは、羊毛ローラーという道具を使って塗料を手塗りする工法で、現在の外壁塗装のほとんどはローラー工法が採用されています。
ローラー工法の最大の特徴は塗りが均等で、ムラが発生しづらく、職人の技術力に左右されにくいことです。塗料の飛散が抑えられるため、養生の手間が少なく塗料の無駄もほとんどありません。
塗装に使われるローラーは使用する塗料の種類や塗る場所に応じて羊毛ローラーと砂骨ローラーとが使い分けられます。
吹き付け工法とローラー工法の比較
吹き付け工法とローラー工法を費用や耐久性など塗装に関するさまざまな観点からメリット・デメリットを比較してみましょう。
工期
吹き付け工法とローラー工法の工期の目安(一般的な戸建て)は以下のとおりです。
吹き付け工法 | 約5~7日 |
ローラー工法 | 約2~3日 |
工事期間の目安は外壁の面積や職人の数などの条件で前後しますが、吹き付け工法の方がスプレーガンで広い箇所を短い時間で効率的に塗装できるのに対し、ローラー工法は職人が手塗りで行うため、吹き付け工法の3倍の時間がかかります。
また、吹き付け工法は塗料が大量に飛散するため養生に時間がかかる一方、ローラー塗装は塗料の飛散が少ないため養生に時間はかかりませんが、塗装作業で時間がかかります。
工事費用
・吹き付け工法(1平米あたり)
ウレタン塗料 | リシン仕上げ 約2,000円 |
スタッコ仕上げ 約2,000円 | |
吹き付けタイル仕上げ 約1,800円 | |
シリコン塗料 | リシン仕上げ 約2,200円 |
スタッコ仕上げ 約2,200円 | |
吹き付けタイル仕上げ 約2,000円 |
・ローラー工法(1平米あたり)
ウレタン塗料 | 約2,200円 |
シリコン塗料 | 約2,200円 |
フッ素塗料 | 約4,000円 |
吹き付け工法もローラー工法も使用する塗料は同じですが、ローラー工法は職人が1箇所ずつ手塗りをしていくため工期が長くなり、人件費がかかります。吹き付け工法はスプレーガンで広範囲を短時間で効率的に塗装できるため、高い技術力を持った職人に依頼すれば比較的短時間で済み、人件費を安く抑えることができます。
塗料の飛散
吹き付け工法 | 塗料の飛散が多いため養生の手間がかかり、近隣への配慮も必要 |
ローラー工法 | 塗料の飛散が少ないため養生の手間も少ない |
吹き付け工法の最大のデメリットは、スプレーガンで塗装するため塗料が飛散しやすいという点です。施工前には塗料の飛散を防ぐために、養生作業の手間がかかります。さらに、スプレーガンを使用するにあたってコンプレッサーの騒音も発生するため、近隣住民への配慮が必須です。
一方のローラー工法は1箇所ずつ職人が手塗りしていくため塗料の飛散が少なく、塗料の無駄を最小限に抑えることができます。また、塗料の飛散が少ないために養生の手間も少なくて済みます。
耐久性
外壁の仕上げに使用される塗料の耐用年数は以下のとおりです。
ウレタン塗料 | 6~10年 |
シリコン塗料 | 8~15年 |
フッ素塗料 | 15~20年 |
塗装の耐久性は使用する塗料によって変わります。吹き付け工法もローラー工法も施工手順がしっかりと守られた上で塗装がされているのであれば、工法の違いによって耐久性が変わることはありません。
仕上がりの美しさや個性
吹き付け工法 | 多彩な仕上がり、独特な重厚感がある |
ローラー工法 | 仕上がりが画一的で個性がない |
吹き付け工法の最大のメリットは、仕上がりが美しく多様性があることです。経験豊富で技術力の高い職人が施工すれば、独特な重厚感のある外壁を実現できるでしょう。
ローラー工法は職人の技術力に左右されないというメリットがある一方、どうしても仕上がりのデザインが画一的になってしまいます。
吹き付け工法とローラー工法はどうやって選択する?
吹き付け工法、ローラー工法ともに施工する場所や環境によって向いているタイプ、向かないタイプがあります。現在はローラー工法が主流となっていますが、状況に応じて吹付工法が選択されるケースもあります。
吹き付け工法は塗装工事を早く、効率的に行いたい場合や仕上がりの美しさにこだわりたい場合におすすめです。
一方、ローラー工法は狭い場所の塗装をしっかりと塗り直したい場合や近隣に塗料が飛散することを避けたい場合におすすめです。
塗装方法を検討する際には、「短時間で施工したい」「美しい仕上がりを目指したい」など、目的を明確化しましょう。
まとめ
吹き付け塗装とローラー塗装、それぞれの特徴とメリット・デメリットをお伝えしました。
外壁を塗装する前には目的を明確化することと、施工前に現地調査を受けることが大切です。
プロの塗装業者が現地調査をすることで、最適な塗装方法や工事費用の見積りがわかります。さらに、複数の塗装業者に見積もりを依頼して比較検討することで、よりコストパフォーマンスの高い塗装方法を選択することができます。
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