外壁タイルの種類と価格相場について解説

外壁タイルの種類と価格相場について解説

外壁タイルはサイディングやモルタルと比べて初期費用の高さがネックとなっていますが、他の外壁材にはないデザイン性の高さ、コストパフォーマンスの高さが魅力です。

「タイル」と一口に言っても、タイル素材、形状、サイズによって特徴が異なります。

今回はタイルの基礎知識や種類、価格相場についてお伝えしていきます。

 

外壁タイルの特徴

 

タイルは石や砂などの天然素材を高温で焼き固めたもので、内装や床のほか、外壁材に用いられています。

耐久性が高いことはもちろん、重厚感・高級感があることから、家の美観にこだわりのある方が外壁材にタイルを選ばれる傾向にあります。

一方で、サイディングやモルタルに比べると初期費用が高いため、普及率は決して高くありません。日本窯業外素材協会が2017年に調査した「戸建住宅市場に於ける 外壁素材別シェア」によると、戸建住宅市場におけるタイルのシェアは全体の2%にも満たない状況です。

 

タイルのメリット・デメリット

タイルを他の外壁材と比較した場合のメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

 

・重厚感・高級感がある

 

サイディングやモルタルに比べて重厚感・高級感にすぐれているため、他の外壁材では出せない圧倒的な豪華さが魅力です。

 

・耐久性が高い

 

タイルの素材である石や砂は半永久的に残るため、日差しや雨風にさらされても色あせや劣化することがありません。しっかり焼き固めてある表面は防水性・撥水性にも優れており、外壁の大敵である雨水の浸入も防ぎます。万が一、大きな地震の揺れでタイルが剥がれることはあっても、外壁がひび割れることがありません。剥がれた箇所を補修するだけで対処が可能です。

 

・メンテナンス性に優れる

 

タイルのメンテナンス周期は10年に1度、タイルそのものは20~30年持つため、他の外壁材と比べてランニングコストに優れています。表面に付着した汚れは雨と一緒に流れ落ち、外観の美しさが長く保たれます。目地はモルタルなのでカビが発生したり、ひび割れたりすることもありますが、セルフで補修が可能です。

 

デメリット

 

・初期費用が高い

 

タイルの普及率が低い要因の一つが初期費用の高さです。サイディングやモルタルと比べて施工費用が高く、タイルで新築の外壁を施工するとなると費用の負担がかなり大きくなります。タイルの施工費用は1物件あたり約300万円以上で、窯業系サイディングと比べて施工費用は倍以上です。

 

・タイルが剥離する

 

タイルの下地は弾力性に欠けるモルタルが使用されているため、地震の揺れなどでタイルに負担がかかると、浮きや剥離が発生する可能性があります。最近では剥離しにくいタイルの施工方法が開発されており、技術力の高い職人を選ぶことで剥離のリスクを軽減できるでしょう。

 

外壁タイルの種類①|素材編

 

まずはタイル素材の分類をご紹介します。

 

I類(磁器質タイル)

 

石英、長石、粘土を混ぜた素地を1300度の高温で焼き固めたタイルです。吸水性が1%未満と耐水性が高く、耐候性、耐摩耗性も優れています。マンションの外壁タイルや内装の水回り、床タイルなど幅広く使用されています。

 

II類(せっ器質タイル)

 

1200度前後の高温で焼き固めたタイルで、吸水性は5%以下と磁器質より耐水性に劣ります。磁器質タイルのような光沢はありませんが、せっ器質タイルの表面は落ち着いた印象を与えるため、こちらの見た目を好む方も多いようです。

 

III類(陶器質タイル)

 

1000度前後の高温で焼き固められたタイルです。吸水性は50%と3種類のタイルのうちもっとも耐水性に劣るため、外壁ではなく内装タイルに使われます。焼き物のように焼き固める際に、釉薬(うわぐすり)を使うか、使わないかで施釉タイル/無釉タイルと区別する場合もあります。

 

外壁タイルの種類②|形状編

 

次に、外壁タイルの形状で分類してみましょう。

 

平物タイル・ユニットタイル

 

平物タイルは正方形か長方形で平面状のもので、一般的に「タイル」という時は平物タイルのことを指しています。ユニットタイルは、施工しやすいように平物タイルをネット状の台紙を張り付けるか、またはその他の方法で多数のタイルを並べて連結したものです。

 

役物タイル

 

役物タイルとは、建物の角や隅、窓の開口部などで使われる特殊な形状をしたタイルです。平物タイルが使えない住宅のコーナー部分など施工上重要な部分に使われます。

 

外壁タイルの種類③|サイズ編

 

タイルのサイズ(寸法、デザイン)でも細かく分類されています。

 

小口平(こぐちひら)タイル

 

寸法:108mm×60mm

小口平タイルはかつてタイルの主流でしたが、半端な寸法から最近はあまり使用されていません。価格の相場は材料費と施工費をあわせて1平米あたり7,000円が目安です。

 

二丁掛け(にちょうがけ)タイル

 

寸法:227mm×60mm

小口平タイル2つ分に相当する大きさのタイルで、見た目に素材の質感が表現しやすいため、最近の主流として使われています。価格の相場は材料費と施工費を合わせて1平米あたり9,000円が目安です。

 

ボーダータイル

 

寸法:227mm×30mm

二丁掛けタイルの短辺を半分にしたサイズで、他のサイズのタイルを並べた中にアクセントとして使われることがあります。横の水平感が美しく、凸凹のある素材が使われるため、非常に美観に優れています。価格の相場は材料費と施工費を合わせて1平米あたり12,000円が目安です。

 

50角タイル

 

寸法:45mm×45mm

目地を合わせた寸法が50mm×50mmの正方形なので50角タイルと呼ばれています。「タイルと聞いてイメージするのはコレ」と言えるほど、もっともスタンダードなタイプです。

施工の際はあらかじめ複数枚が組み込まれたユニットタイルが使用されます。

 

45二丁(しごにちょう)タイル

 

寸法:95mm×45mm

300mm×300mmのユニットタイルとして市販されているため、施工しやすく工費も安くなります。滑らかな質感のタイルが使用されることが多く、マンションなどシャープな外観を出したいときに使用されます。ボーダータイルと並んで人気の高いタイルです。

 

まとめ

外壁材としてのタイルの特徴とメリット・デメリット、タイルの種類についてお伝えしました。

冒頭で述べたように、タイルは初期費用の高さがネックとなりますが、他の外壁では表現できない圧倒的な美観と、簡単なお手入れで済むメンテナンス性の高さを兼ね備えています。

大切なマイホームの外壁選びで後悔しないためにも、カタログ等の情報のみならず、住宅展示場や見学会、施工業者に足を運び、実物を体感されることをおすすめします。

 

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