外壁の張り替え・リフォームに適した季節はあるのか、という話

外壁の張り替え・リフォームに適した季節はあるのか、という話

外壁の張り替えにはいつ着手すればいいか

屋根や外壁のリフォームを検討する際、何月か、季節は、と気にされる方は案外いらっしゃいます。

工費が高くなるのはいつか、気温や湿度などの影響は、そうしたことを気にされているのだと思います。

塗料を使用する屋外塗装の場合、環境に大きく左右されますので、そうしたことから連想されるのではないでしょうか。屋外リフォーム全般に季節による向き不向きがあるのでは、と考えられるようですね。

外壁リフォームには、塗装の他にも、外壁材そのものを新しく交換する「張り替え」という工法が存在します。

今回はこの張り替えを例にとって、屋外リフォームがどれほど気候の影響をうけるかについて書いてみたいと思います。

外壁の張替えと季節の関係

結論から申し上げると、外壁の張り替えにおいては、そこまで深く季節のことを心配する必要はありません。詳細は後述しますが、塗り替えと違って、気候の影響はそれほど受けません。ですから、戸外の塗装を含まない、あるいは含んだとしても小規模である場合などは、施工の季節にそこまで神経質になる必要はないと思います。

 

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どうして気候の影響を受けないか

もちろん、外壁の張り替えにおいても、気候の影響をまったく受けないということではありません。塗装に比べて影響が小さいものの、戸外でやる以上多かれ少なかれ何らかの影響は受けます。それでも季節を気にする必要がそれほどないというのはなぜなのか、以下にその理由を挙げていきます。

外壁の張り替えと気温

外壁の張り替えは「気温の高低」で影響を受けることはありません。

そもそも外壁の張り替えとは、既存の外壁を解体、撤去し、下地から新規の外壁材(最近ではサイディングが主流です)を取り付けていく工法です。

一方で外壁塗装の場合は、塗料の乾きやすさが工程に大きな影響を及ぼしますので、あたたかく空気が乾燥した季節、春や秋が施工にもっとも適した季節といえるのです。

外壁の張り替えと湿度

外壁の張り替えは気温と同様、「湿度の高低」に左右されることはありません。

外壁塗装の場合、湿度85%以上の日は施工を行えません。湿度が高いと塗料が乾燥する過程で塗膜が白くぼやけた状態になってしまうからです。見た目がすっきりしませんし、防錆の効果も著しく低下します。

外壁の張り替えに適した季節をあえて挙げるとするなら

外壁の張り替えが気候の影響をそれほど受けないという話をしてきましたが、それでもあえて適切な季節を挙げるなら、というお話を次にしていこうと思います。

降水量が少ない季節

塗料を使用しないとはいえ、やはり外壁の張り替えにおいても、雨が多い季節は施工完了に遅れが生じる可能性があります。通常梅雨に入る6月の戸外のリフォーム工事は、ある種の賭けになることが多いですね。また、最近はゲリラ豪雨のように予期しない地域や季節で記録的な大雨が降ることもあり、職人泣かせとなっています。

外壁の張り替えでは、既存の外壁材を取り除きますので、その状態で雨に降られると、場合によっては建物内部への浸水の危険もあります。もちろん普通の業者であれば、雨が入り込まないように適切なケアを行いますが、強い雨が長く降り続いたりした場合に、予期しない事態が発生することは十分ありえます。

既存の外壁を取り除いてから、新たな外壁を張りつけるまでの間は、できれば晴天が続くことが望ましいです。予報を見ながら日程調整するのが普通ですが、よほど差し迫った場合でなければ、梅雨期の工事は避けるのが賢明といえますね。

春と秋

リフォームに適した季節というのは、おおむね私たちが普通に生活するのに快適な季節と重なります。夏が苦手、冬が苦手、そうおっしゃる方は少なからずいらっしゃいますが、春と秋が苦手という人にはあまり会ったことがありません(あ、実は私もそうですが、花粉症の人間にとっては、さわやかさの象徴でもある「春風」という言葉に恐怖すら感じてしまいますが・・・)。

春と秋は、外壁の張り替えに最も適した季節といえます。雨の影響を受けにくいため、予定通りに作業を進められる。また、これは夏にもいえることですが、日照時間が長くなるので、1日の作業時間を多めに取ることができ、結果として施工を早く終わらせることができます。

もちろん、冬に外壁の張り替えを行っても、何ら問題はありません。経験豊富な業者に任せておけば、たいていの気象条件であれば、それほどの遅滞もなくリフォームをやり遂げてくれるはずです。

100%確実ということはない

それでも、裏を返せば、あくまで戸外で行う作業なので、100%確実な季節はないということにもなります。先ほど述べたゲリラ豪雨もそうですが、春や秋に予想外の大雨が降り続くこともあります。平均して好天が続きやすいというだけで、たまたまあなたがリフォーム工事を依頼した時期に大雨が降り続くという可能性もあります。現にそうしたトラブルに見舞われた施工主さんは、「よりによってうちの時に・・・」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

ですので、まずはゆとりのあるスケジュールを作ること。それから、人気があって慢性的に人手不足の業者などは、別件の工事に人が移ってしばらく放置されるようなこともありますので、会社の規模や人員についても事前に確認しておいたほうが安心できるかもしれません。

外壁の張り替えを検討する「時期」

続いて、外壁の張り替えに適した季節ではなく時期を解説します。

外壁は時間の経過とともに必ず劣化するものです。しかしほとんどの人は外壁の張り替え時期についてはっきりとした基準をお持ちではないでしょう。

外壁の張り替えは、使用している外壁材の種類によって、リフォームを検討する時期がそれぞれ異なります。現在日本の住宅で使用されている主な外壁材は以下のとおりです。

  • モルタル
  • 漆喰
  • サイディング(窯業系)
  • サイディング(金属系)
  • サイディング(木質系)
  • サイディング(樹脂系)

この中でモルタルと漆喰は「塗り壁」と呼ばれる外壁材で、ひと昔前の住宅でよく使用されていました。一方のサイディングは近年急速に普及してきた外壁材です。

サイディングにも種類があり、現在の主流は窯業系といわれています。デザインや種類が豊富で、施工方法も簡単、比較的低価格な点も支持を集める理由です。

以下、各外壁材の耐用年数の目安とメンテナンス周期をまとめてみました。

外壁材 耐容年数目安 メンテナンス周期
モルタル 約30年 約8年~10年
漆喰 約100年 約10年
サイディング(窯業系) 約40年 約7年~10年
サイディング(金属系) 約40年 約10年~15年
サイディング(木質系) 約40年 約10年
サイディング(樹脂系) 約40年 約10年~20年

一般的に耐用年数は30~40年、漆喰は100年もつといわれています。しかし、それもあくまで目安で、実際は時間の経過とともに塗装が剥がれたり、サイディングボードをつなぐシーリングが劣化したりします。

外壁材を耐用年数通りにもたせたいのであれば、10年周期のメンテナンスが必要です。もちろん、お住まいの環境や使用している材料の質、施工方法などによってこれらの数字は前後しますのでご理解ください。

自宅の外壁の状態を自分で確かめる方法を「外壁を自分でチェックする6つの方法と注意点」こちらの記事にまとめておきましたので、興味のある方は一度読んでみてください。

まとめ

外壁の張り替えは、塗料を使用する塗装と違い、季節はあまり関係ないということがお分かりいただけたかと思います。梅雨の時期は避けるのが理想ですが、基本的には通年どの季節でも行えます。

外壁の張り替えを検討する時期も、コンスタントなメンテナンスを行っていれば、耐用年数に近づけるか、あるいはそれ以上もたせることも可能です。細やかなケアで長生きしてもらうのは、人も家も変わりがありませんね。

最期になりますが、皆様の工事が晴天に恵まれますことをお祈り申し上げます。

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