新築から年数が経過すると、外壁が傷んだり、汚れが目立ってきたりしてリフォームが必要になります。
外壁のリフォームと一口に言っても3つの方法があり、それぞれ工事費用はもちろん、適切な工事のタイミングも異なります。
今回は外壁リフォーム3つの方法の特徴や費用、メリット・デメリットを解説していきます。
外壁リフォームには3つの方法がある
建物の外壁は屋根と並んで雨風にもっともさらされている部分であり、劣化具合によって定期的に適切な外壁リフォームの方法を選び、メンテナンスを行うことが大切です。
外壁リフォームには大きく分けて以下の3種類の方法があります。
- 外壁塗装(塗り替え)
- カバー工法(重ね張り)
- 張り替え
各方法はそれぞれ工事の内容やかかる費用が異なります。それぞれの外壁リフォームの方法の詳しい費用やメリット・デメリットを解説します。
外壁塗装(塗り替え)
塗り替えは最も手軽でコストがかからない外壁リフォームの方法です。
外壁材であるモルタルやサイディングが劣化してきたら、外壁塗装によってメンテナンスを行います。具体的には塗料のひび割れ、チョーキング※、苔や藻の繁殖などの劣化状態が見られる場合は、外壁塗装によるメンテンナンスが必要です。
※塗料に含まれる合成樹脂が雨や紫外線で分解され、表面に粉状になって現れる現象
塗料にはアクリルやウレタンなどの種類があり、見た目、耐用年数、防水性や断熱性などの性能に違いがあります。
つまり、どの塗料を使って外壁を塗り替えるかによって費用が変動するため、外壁にどのような効果を与えたいかで塗料を選ぶことが大切です。
外壁塗装にかかる費用
外壁塗装に使われる主な塗料の種類とそれぞれの耐用年数、性能、費用の目安を表にしてまとめると以下のとおりです。
塗料の種類 | 耐用年数 | 性能 | 費用(坪単価) |
アクリル塗料 | 4~7年 | 発色が良い、紫外線に弱い | 1.5万円~3万円 |
ウレタン塗料 | 6~10年 | 耐水性・防水性に優れる、汚れや色あせに強い | 2万円~3.5万円 |
シリコン塗料 | 8~15年 | 耐久性・耐候性・防水性に優れる、仕上がりがきれい、ひび割れに強い | 2.5万円~4万円 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 耐久性・耐候性・撥水性に優れる、美しい光沢が特徴 | 3万円~5万円 |
光触媒系塗料 | 15~20年 | 太陽光や雨を利用したセルフクリーニング機能、遮熱効果が高い | 4万円~6.5万円 |
一般的に高価な塗料ほど長持ちし、耐久性や耐候性などの性能に優れます。工期は10日~2週間ほどかかるのが一般的です。
外壁塗装のメリット
詳しくは後述しますが、外壁塗装は他のリフォーム方法と比べて工事費用が抑えられるというメリットがあります。また、既存の外壁の雰囲気を損なうことなく「防水効果」や「遮熱効果」といった新たな性能を外壁に加えることが可能です。
外壁塗装のデメリット
それぞれの塗料に耐久年数があるように、塗料が劣化するタイミングで塗装し直さなければなりません。また、外壁の劣化が激しい場合は塗り替えてもすぐに劣化してしまう場合があります。
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カバー工法(重ね張り)
カバー工法とは、既存の外壁を残したまま、上から新しい外壁材を重ねて貼る方法です。解体撤去費用がかからず、コストを抑えてリフォームを行うことができます。
カバー工法にかかる費用
カバー工法で重ね張りする外壁材には、サイディング材とよばれる素材を用います。それぞれの耐用年数、性能、費用の目安は次のとおりです。
塗料の種類 | 耐用年数 | 性能 | 費用(坪単価) |
窯業系サイディング | 7~8年 | 耐水性・防水性に優れる、汚れや色あせに強い | 4万円~ |
金属系サイディング | 10~15年 | 水浸・ひび割れ・凍害に強い | 6万円~ |
樹脂系サイディング | 10~20年 | 耐久性・耐候性に優れる、再塗装が不要 | 7万円~ |
カバー工法の費用は30坪規模の建物でトータル約150万~250万円、工期は約2~3週間かかります。
カバー工法のメリット
カバー工法は後述する外壁の張り替えと異なり、既存の外壁を剥がさずにリフォームするため、工事費用を抑えることができます。外壁が二重になったことによる耐震性能の向上にも期待できるでしょう。
カバー工法のデメリット
カバー工法は塗装に比べるて必要な材料や工数が増えるため、必然的に費用も高くなってしまいます。
張り替え
既存の外壁材を解体して骨組の状態にしてから、新たに下地と外壁材を取り付けて劣化部分を補修する方法です。
外壁の劣化が進んで雨漏りが発生したり、家の下地が腐食していたりするときには外壁の張替えでリフォームする必要があります。
張り替えにかかる費用
外壁を全面的にリフォームして新築に近い見た目にするため、費用が高くなります。カバー工法と同様、各外壁材の特徴や耐用年数、費用の目安は次のとおりです。
塗料の種類 | 耐用年数 | 性能 | 費用(坪単価) |
モルタル | 5~10年 | 発色が良い、紫外線に弱い | 4万円~ |
窯業系サイディング | 7~8年 | 耐水性・防水性に優れる、汚れや色あせに強い | 5万円~ |
金属系サイディング | 10~15年 | 水浸・ひび割れ・凍害に強い | 7万円~ |
樹脂系サイディング | 10~20年 | 耐久性・耐候性に優れる、再塗装が不要 | 8万円~ |
タイル | 10~15年 | 耐久性・メンテナンス性能に優れる | 8万円~ |
外壁の解体、廃材の処理、下地の工事などが必要となるため、費用相場は30坪規模の建物でトータル約150万~250万円、工期は約4週間かかります。
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張り替えのメリット
外壁の下地から新しくするため、建物を新築同然にリフォームすることができます。また、筋交い※を追加するなどして耐久性を向上させることも可能です。
※建物の強度を高めるために、柱と柱の間に斜めに取り付けた木材
張り替えのデメリット
外壁を新築同然に新しくするため、既存の外壁の解体・運搬、下地の工事など工程が多く、費用が高額になってしまいます。また、工期が1ヶ月近くかかることもデメリットと言えるでしょう。
まとめ
外壁リフォーム3つの方法の特徴、費用、メリット・デメリットを解説しました。
いずれのリフォームも数十万円、数百万円の費用がかかるため、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが大切です。
複数の見積もりを比較することで、不明瞭な工事はないか、工事に対して価格が適正かを確認することができます。
リフォーム業者を選ぶ際は費用の安さだけでなく、担当者の対応や説明のわかりやすさなども吟味して、適切な依頼先を選びましょう。